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2014年11月28日

柿とアルコール

柿とアルコール


 今年は次郎柿誕生100周年、柿のおいしい季節になってきました。よく「柿を食べておくと悪酔いしないから・・・」などの話を聞いたことのある方も多いと思います。

 そういった意味を含め、柿とアルコールの関係については、なんとなく知っているという方は多いと思いますが、その理由が、柿自身が種を残すための、生命としての仕組みだとしたらいかがでしょうか・・・?
 そんな、視点で柿について考えてみたいと思います。

 柿の実の特徴と言えば、おいしそうな色、「渋」と言われる果肉に見られる黒っぽい粒々、他の果物と比べて香りが少ない、などが頭に浮かぶことかと思います。

 その中でも、最大の特徴は「渋」と呼ばれるものです。この「渋」と呼ばれるものは、タンニンという物質です。このタンニンの渋みがあることで、周りの動物から種子を守り、種を保存するという大きな役割があります。

 一般的に、人間も含め動物が最も嫌がる味覚は「渋み」と言われています。動物から嫌われる味を持つことで、種を守るのです。しかし、身の中の種が出来上がってくると柿の実は、渋柿であっても渋みが消えて甘くなるそうです。

 これは、出来上がった種をより遠くに移動させるためには、非常に有効です。もし、種自身が未成熟の状態で他の動物に食べられてしまったら、種の保存に対してマイナスに作用してしまいます。

 この「渋」については、渋柿が甘くなる状態の時に、「渋が抜ける」という表現をします。しかし、渋の成分であるタンニンが抜けるわけではありません。タンニンはお茶などにも含まれていますが、果汁や果肉に溶けているタンニンは、不溶性に変化する性質があります。
 つまり、タンニンが不溶性に状態であれば「柿は渋くない・・・」ということになり、「渋み」によって、かき消されていた「甘み」が引き立ってくるために甘く感じるということだそうです。

 そのタンニンを不溶性にする物質がアセトアルデヒドという物質です。アセトアルデヒドは、いわゆる二日酔いの原因物質ともいわれる毒性のある物質で、アルコールを飲んだ後に体内に吸収されて、アセトアルデヒドになります。

 このアセトアルデヒドを、体内で代謝することができればいいのですが、代謝能力を超えてしまうと、心拍数の増加や、顔が赤くなったり・・・と、酔っ払った状態になってしまいます。

 つまり、柿の渋い粒々が、アセトアルデヒドの代謝酵素としての働きをするために、飲酒した時に身体にとって都合のよい働きをしてくれるというわけなのです。

 そういうことから考えますと、やわらかく熟して甘くなった柿よりも、シャキっとした歯ごたえのある柿の方が、二日酔い予防に効果があるということになります。

 とはいえ、これらの効果は柿の種の保存のための防衛手段であることを考えながら、柿もお酒も美味しく頂きましょう。

 もちろん、柿の力を頼らずに自分の許容量を守ることが一番ですけどね・・・






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Posted by toyohiko at 16:34│Comments(0)身体のしくみ
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