2014年12月13日
腸に相談する

「脳腸相関」という言葉を聞いたことがありますでしょうか? この言葉を聞いたことがなくても、ひどい緊張を感じたり、ストレスによって下痢をしてしまうというような経験をしたことがある人は少なからずいるのではないかと思います。
このような症状は、脳の視床下部というところから自律神経を介して腸に伝わりお腹の調子を狂わせるからと考えられています。
また、「パブロフの犬」の実験でも示されているように、脳は、特定の経験値を記憶して身体を反応させるような指令を送る習慣があります。そういうことからも、特定の状況で必ず、「おなかの調子が悪くなる・・・」というような悩みを持っている方も、まさに脳が腸に間違った指令を出しているということになります。
また、さほどお腹が空いているわけでないのに、テレビを見ながらとか、おしゃべりをしながら、ついついお菓子などを食べ過ぎてしまったというような経験をしている方も多いと思いますが、これも脳が一方的に暴走し身体を支配している状況のひとつだと考えられています。
逆に、お腹の調子が悪い時は、「腹痛」という症状になるのですが、「腹痛」というのは、お腹自身が、もうどうしようもなく悲鳴を上げていると思った方が良いのかもしれません。
その予兆の症状をしては、集中力がでなかったり、元気がなかったり・・・とか、という状態になるそうです。
これは、先ほどとは逆で、腸管の周りの神経細胞を伝わり脳に「調子が悪い」という情報が伝わるからです。
このような「脳」と「腸」のお互いの関係を「脳腸相関」と呼んでいるそうなのです。
この「脳腸相関」に大きくかかわってくるのが、腸内細菌だとされています。
先ほど、強いストレスによって下痢をしてしまう・・・という話がありましたが、強いストレスによって、腸内細菌のバランスも崩れているという話もあります。たとえば、交通事故など、身体的にも精神的にも大きな衝撃を受けた時などは、ほぼ瞬時に近い状態で、腸内菌叢がくずれてしまい、いわゆる悪玉菌が優勢になってしまうとも言われているほどです。
この、「腸脳相関」と大きくかかわり、腸と脳を行き来しているのが、「幸せホルモン」と呼ばれる、セロトニンやドーパミンです。これらの「幸せホルモン」がつくられる、量や質を大きく左右するのが、腸内環境なのです。
この腸内環境を含め「腸」が感じている情報を、しっかりつかみ取ることが大切なのです。「どんなものを食べるか」「どれくらい食べるか」「もっと食べるか、それともやめておくか」・・・日常、ついつい流されがちなことを、「腸に相談する」ことで自分の身体とうまく付き合って行くことを考えることも大切かもしれません。
体調という意味のコンディションも大切ですが、腸のお便りである「便」の観察も、身体の声を聞く、貴重な手段もひとつとして意識してみて頂けるといいと思います。
Posted by toyohiko at 15:16│Comments(0)
│身体のしくみ