2014年12月19日
筋肉とホルモンと老化

冬になると、気温が低いせいもありどうしても運動量が減ってしまいがちになります。しかしながら、低い温度ゆえに体温を保つために身体は、夏よりも多くの熱量を必要をしますので、基礎代謝そのものは多くなる季節でもあります。
この基礎代謝量に大きく関係するのが筋肉の量になります。
その筋肉ですが、使わずにいると年に1%の割合で減っていくとも言われています。しかも、高齢になるほど運動量が減ってしまうこともあり、筋肉量が減っていってしまいます。
筋肉は、熱をつくりだしたり、水分を蓄えたり、全身の循環をつかさどるポンプの役目をしたりと、身体のエネルギー工場のような役割をしています。しかし、筋肉量が減ってくると身体を動かすためのエネルギーを作れなくなってしまい、「身体に疲れがたまる」という症状になってしまうことも少なくありません。
特に、70歳代になると筋肉の減少が進み、歩いたり身体を支えたりと日常生活の基本的な機能の低下を引き起こし、少し歩いただけでも疲労感がでてしまい、結果的に出不精もなることで運動機能そのものの低下を招いてしまいます。さらに、転倒などをきっかけに言わゆる「寝たきり」の状態をまねくというような悪循環を引き起こす可能性も大きくなってしまいます。
筋肉が増えるメカニズムは、運動などによって負荷がかかった時に見えないレベルで傷がついた筋繊維を修復するときに成長ホルモンが分泌されます。そのホルモンがタンパク質の合成を促すことによって、より太い筋繊維をつくるというサイクルで成り立っています。
このホルモンというのが、男性ホルモンとして知られるテストステロンというホルモンです。このホルモンの分泌に関しては、筋肉を動かすことで多く分泌されることが分かっています。男性ホルモンだからと言って、男性だけの問題ではなく女性も同じです。
このホルモンは、いわゆる「やる気」といわれる意欲にも深くかかわっているといわれていますので、単に「筋肉が落ちた」というようなことだけではなく、特に高齢者にとってはQOLそのものに大きくかかわってくるものだと思います。
さらに、運動で身体を動かしているとBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる、脳によっての栄養分のような物質が盛んに分泌され、脳機能の向上やアンチエイジング効果をもたらすことも知られています。
また、身体の中で唯一筋肉だけが、老化に逆らって質の向上ができるとも言われています。良くいう「筋肉は嘘つかない」言葉もこのようなことを表しています。
年をとるにつれて、筋肉のことが気になりだす人も多いと思いますが、筋肉を鍛えることで「やる気」につながったり、脳の機能の向上にもつながる・・・というであれば、普段の身体の動かし方を含め、身体との関わり方を見直すことも大切かもしれません。
Posted by toyohiko at 14:27│Comments(0)
│身体のしくみ