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2015年02月21日

不自然な自然志向

不自然な自然志向

 「自然志向」という言葉に対して、心地よい響きを感じる方も少なくないと思います。現にオーガニックやマクロビオティックなど様々なものが注目を集めています。

 「オーガニックを中心に取り扱っている都会的でおしゃれなレストラン・・・」この言葉というのは、あまり違和感なく受け入れることが出来る人がほとんどだと思います。しかしながらこの中には、「都会」と「有機栽培(自然)」という二つの相反する言葉が、共存しているのです。

 この二つの言葉が共存すること自身は、決して悪いことではありません。むしろ、殺伐とした「都会」でのストレスを、自然の力で癒すためには必要な組み合わせともいえます。

 しかし、この二つの言葉が共存していることに感覚がマヒしてしまうとどうなるかということを想像してみましょう。

 例えば、「緑深い山々が続く中に突然現れる、太陽光パネルがぎっしりと並んだ風景・・・」、太陽光発電は、自然エネルギーとか再生可能エネルギーとして地球環境を守る重要な役割をしています。しかし、その施設を建設するプロセスとして山を切り開き、樹木をすべて伐採し、山肌を露出させ、人工構造物を並べる。さらには、そこに住んでいた昆虫や動物の棲みかを奪い、土地を痩せさせる・・・

 その目的が、エコロジーという名のもと「地球環境保護」「人類の未来を守る」・・・

 この現実をどうとらえるかという感性・・・ 自然との距離感にある意味直結しているのかもしれません。これほど大きな規模の話になると、おそらく多くの方が、矛盾と違和感を覚えるのかもしれません。

また、このような例はいかがでしょうか・・・?

ゴミの分別は資源のリサイクルをするためには、必要なことです。食べ物のソースでベタベタになったプラスチック容器をプラスチックの素材としてリサイクルすることを考えた場合は、まず容器の洗浄をしなければなりません。その時には、洗剤を使うかもしれませんし、洗浄するための水道水を使います。リサイクルするためには食品と容器を分離するということは必須になりますのでこの過程は欠かせないものになります。
本当は、洗浄することの環境負荷とリサイクルすることとの効果とのバランスを図る必要があります。さらに、焼却炉によっては、高い燃焼温度を確保できるためにダイオキシンの発生についての心配がない話というも聞きます。その一方で、その燃焼温度を確保するために重油などの石油製品を加えているという現実もあるそうです。

ここでも、環境負荷とリサイクルとのバランスを考えた場合に矛盾を感じる方もいるのではないかと思います。しかし、現実にはリサイクルすることは「環境に良い」「エコだ」という先入観も含め、「こういうものだ・・・」という物事を決めた人たちの意志にしたがっているだけ・・・ということがあるのではないでしょうか。

 もちろん、このケースでは「リサイクル」という言葉によって、面倒くさいプロセスを介在させることで消費量を削減する効果もあると思います。しかし、地球環境全体の実際の負荷軽減ということとは必ずしも結び付かない場合も身近なところにあるような気がします。

今まで、「良い事だと思ってやってきたのに・・・」という社会全体の徒労感を考えると、今更、情報をつまびらかにしにくい・・・ということがあったとしたら、そんな理由で、本来の姿から少しずつ外れてしまうことになってしまいます。

 私たちの暮らす地球環境というものは、非常に複雑で未知の部分もたくさんあります。その中で、「自然」とか「環境」「エコロジー」というような言葉に振り回されないためにも、自分自身の身を自然の中に置いたうえで、もう一度考え直してみることが必要かも知れませんね・・・。





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