2015年03月07日
「副腎疲労」という考え方

皆さん、副腎という臓器をご存知でしょうか・・・、あまり馴染みの無い方も多いのではと思います。しかし、その一方で「ステロイド」とか「副腎皮質ホルモン」という名前は耳にしたことがある方も多いのではと思います。
そのあまり効きなれない「副腎」という臓器が、うまく機能せずに疲れてしまった状態が、現代社会において特徴的な身体の不調との関係について、1990年代にアメリカのジェームズ・L・ウィルソン博士によって提唱された「副腎疲労」という概念です。
この「副腎疲労」は医学的に認知された「症候群」などのように確立されたものではないようですが、ストレスケアのアプローチとして注目されているそうです。
副腎は、腎臓の上に位置する臓器で1つ3~5g程度のとても小さい臓器で、腎臓の20分の1位とも言われています。位置的にも腎臓とくっついているのですが、腎臓と直接関係する臓器ではないそうで、生命を維持するために不可欠なホルモンを分泌する内分泌器の一つです。
副腎は、大きく分けると周りを覆っている副腎皮質と、中心部の副腎髄質の二つに区別できます。隣り合っているのですが、そもそもの発生の起源も違い構成する成分も働きも違うのだそうです。
副腎髄質は発生学的に自律神経の交感神経の一部で、機能的にも交感神経と連携しながら生理作用を調整しています。具体的には、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン等の交感神経系のホルモンを分泌しています。
また、副腎皮質では、コレステロールを原料にステロイドホルモンを分泌しています。ステロイドホルモンと言いましても、コルチゾール、アルドステロンなど色々なものがありますが、大きな役割としてはストレスに対抗する働きをするそうです。
このストレスですが、人類の進化の過程において昔から襲いかかってくる生命に対する一番の危険は、飢餓と外敵です。つまり、副腎皮質ホルモンというのは、「食べ物が食べられない状況下で外敵と戦う」ための作用をするように出来ているということです。
しかしながら、現代社会において「飢餓」や「物理的に外敵と戦う」という状況は縁遠いといわざるを得ません。
副腎皮質ホルモンのひとつであるコルチゾールは、血糖値の上昇の作用を目的として、糖代謝、脂質の代謝、タンパク質の代謝を抑制します。このことだけを見ると現代に生活する我々現代人にとっては悪い作用のような気もしますが、「ステロイド薬」に代表されるように免疫寛容や免疫調整機能、さらに炎症を抑える働きもするのです。
そういうことからしても、このコルチゾールの量というのは多すぎても、少なくても身体に与える影響は大きいような気がします。コルチゾールひとつとっても、普段あまり気にすることのない副腎という小さな臓器のコンディションによってホルモンの分泌量がうまくいかない状態になるとすれば、その結果、健康に与える影響は思ったよりも大きいのかもしれません。
そういった意味でも、「副腎疲労」という考え方は必要なのかもしれませんね・・・
Posted by toyohiko at 20:29│Comments(0)
│身体のしくみ