2015年05月16日
脳と腸と食べ物

皆さんは、「脳と腸のどちらが正しい判断ができると思いますか・・・?」という質問に対して、どのような答えをしますか。
おそらく、多くの方が「脳」と答えると思います。さらに「腸」が生きていく上で色々な判断をしてるというイメージすらない方も多いというのが現状かと思います。
以前から、申し上げているように消化器官が身体にとって安全ではないものを検知した時の反応の代表的なものは「嘔吐」と「下痢」です。脳の判断ではなく、消化器官が独自に安全ではない物質を体外に出す代表的な症状といわれています。
このように、脳で判断して身体に指令が下ることによる場合と、身体の反応が先で脳に伝わるような場合の二通りあるようで、例えば、「笑う」ことによってNK細胞が活性化されるという場合もそうですが、笑えるようなことがなくても、無理やりにでも「笑顔」をつくることで、脳が間違ってドーパミンなどの神経伝達物質を出し、NK細胞の活性化が促されるというような研究結果もあるようです。
こうして考えると、「脳」と「腸」どちらが・・・ということもしっかりと、自分自身の身体の機能の一つとして理解しておかなければいけないことなのでは・・・という気がします。
「脳」の働きの特徴としては、「気持ち良くなる・・・」ということです。とにかく、どのようにすると「気持ち良くなるか」ということを、再現しようとする働きが強いということです。
現在の日本のように「飽食の時代」と呼ばれる社会の中で、「美味しいものをお腹いっぱい食べる・・・」さらに、「甘いものは別腹・・・」と言いつつ、いったんは満腹感を味わったのにも関わらず、甘いものを口に運ぶ・・・ということをしてしまっているという経験をした人は少なくないと思います。
「いったんは、満腹感を味わったのにも関わらず・・・」というのが実はポイントで、この行為そのものは、脳が快楽を求めるための暴走をし始めている兆候とも言えるのかもしれません。このことは、「脳」にストレスという不快感を感じていれば感じているほど、そのような症状はより強く出てしまう可能性が高まります。
「脳の報酬系を満たす」という言葉を聞くことがありますが、ストレスの職場で働く人が、勤務中についついチョコレートなどの甘いものを口に運ぶことが習慣になり、その結果、糖尿などの症状に苦しむことになってしまったような事例を耳にすることがありますが、これは「脳」の判断が間違ってしまった例の一つなのかもしれません。
このような事例のように、「脳」は、この食べ物が本当に必要か・・・、安全か・・・という判断できていない可能性があるということです。
特に、現代社会においては、科学技術の進歩にともない元々自然界に存在しない物質によって、「美味しい」と感じることができる食品が数多く流通していますので、いつでも好きな時に好きなだけ安価に口にすることができる環境がある意味整ってしまっています。
「元々自然界に存在しない」ということは、腸にとって予想しえない物質であり、より多くの負担がかかってしまう可能性も否定できない中、脳が要求することによってそのような食品を口にするという循環が起こっているのだとすれば、この循環について考えなおしていく必要があるのかもしれません。
近年、リーキーガット(腸漏れ)症候群という症状が注目され、脳の機能への影響についても議論され始めている現状を考えると、「脳」の「美味しい」という判断について、自分自身の健康のためにも見直すことが必要かも知れません。