2015年06月20日
腸内フローラと糖アルコール

皆さんは、糖アルコールという言葉をご存じでしょうか・・・? 馴染みの少ない方々もいると思いますが、腸内細菌のエサとして注目を集めている物質の一つです。
腸内細菌のエサとして、よく耳にするのは食物繊維です。食物繊維は多糖類に分類されていいますが、そのほかのオリゴ糖類も難消化性の糖類として善玉菌のエサとして良く知られており、加工食品に加えられているような事も少なくありません。
その中でも、糖アルコールというのは糖質甘味料として分類されるもので、天然にも存在しています。
糖アルコールとして良く知られているのはキシリトール、ソルビトール、マンニトール等がありますが、キシリトールはイチゴやキノコに、ソルビトールはリンゴや梨、マンニトールは昆布にも含まれています。
糖アルコールは、胃や腸で消化・吸収されにくという性質を持っています。そのために、砂糖などに比べると、体内で熱量に変換される割合が少ないために結果的に、血糖値を急激に上昇させにくかったり、摂取カロリー量が抑えられるということになります。
このような特徴は、オリゴ糖類も同じで、消化・吸収されにくいために「糖」の組成のまま腸まで到達することにより、糖類をエサとする乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内で増える環境をつくり易くします。
また、糖アルコールのなかでもよく知られているのがキシリトールです。
このキシリトールという物質は、「虫歯を抑える」効果ということで特定保健用食品にも使われていますが、このキシリトールに関しては栄養として使用できる菌と利用できない菌があるいるそうなのです。
特にミュータンスなどの虫歯原因菌や肺炎球菌はエサにすることが出来ないだけでなく、キシリトールを摂取した時の代謝産物がこれらの細菌の増殖を抑え、死滅させる効果も期待されているため、食品や歯磨き剤に利用されているということです。
ちなみに、食品中のキシリトールの可食部100gあたりの含有量については、イチゴ362mg、カリフラワー300mg、ホウレンソウ107mg、玉ねぎ89mg、ニンジン86mgなど・・・と普段口にしている食品にも意外と多く含まれているのです。
また、多くの善玉菌と呼ばれる菌は、糖類をエサにして酸やその他のビタミン類など身体にとって欠かせないものを代謝します。数百種類と言われている腸内細菌ですが、様々な糖類や糖アルコールと言われるものとの相性もあるようです。
これらの組み合わせについては、まだ未解明のことも多く私たちの生活の質を向上するために多くの発見がこれからもあるのだと思います。
しかしながら、人によって腸内フローラの状態は様々です。この違いは、健康になるために必要な食品の違いにもつながるのかもしれません。
「これが良い・・・」という話だけで、精製された加工頻度の高い食品に偏って摂取するのではなく、自然界にある状態のものをバランスよく食べていきながら、お腹の中の菌と相談していくことも大切ですね・・・