2015年07月18日
ちょっと気になる汗の話

「汗」というと色々なイメージをお持ちの方がいると思いますが、「汗」には3種類あるといわれてます。
まずは、「温熱性発汗」と呼ばれる主に体温調整に関わる発汗です。これは、手の平と足の裏以外のほぼ全身にから出るものです。
次に、「神経性発汗」があり、これは「温熱性発汗」とは逆に主に手の平と足の裏から発汗します。良くいわれる「手に汗握る・・・」というのがこの「神経性発汗」と呼ばれるものです。
最後に、「味覚性発汗」と呼ばれ、辛い料理や刺激の強い食品の摂取によって生じるもので、頭部や顔からの出るものです。
埼玉医科大学医学部神経内科・脳卒中内科の中里良彦准教授によりますと、人間の発汗機能は特別で、他の動物とは仕組みが異なるようです。これは、体毛が少なくなった人間体温を調整する為に発汗機能を発達させてきたからと考えられています。
身近な動物でいえば、犬や猫などは全身には全身にはあまり汗をかかず、肉球などの一部に汗をかくだけで、口からの呼吸によって、鼻の奥の静脈を冷やすことで主に体温の調整をしています。
人間は、どのような仕組みで発汗しているかといいますと、大脳の視床下部が体温の上昇を察知し、「体温を下げなさい・・・」という命令を出すと、交感神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質を分泌し、血管から血漿(血球を除いた液体)をくみ取って汗をつくり、汗腺から汗を出します。
この場合、液体に含まれる熱量が体温低下効果があるというよりも、水分が蒸発するときの気化熱が奪われることによって体温を下げるのでなるべく、汗が蒸発しやすい状況をつくるほうが、体温の上昇を抑える効果が高くなります。
汗は、汗腺から出てくるのですが、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の二種類がありますが、体温を下げる役割は主に全身にあるエクリン腺が主に機能しているそうです。
一方のアポクリン腺は、脇の下や陰部に多くあり、体温を下げるというよりも、皮膚常在菌との反応によって匂いを出し、異性を引きつける役割があると考えられています。
気温の上昇が激しい時などは、「発汗」は重要な体温調節機能なのですが、この発汗量というのは、女性の場合、排卵ホルモンと大きく関係しているようで、ホルモンの影響が多いことで発汗量が少なくなるそうです。
更年期の症状の一つとして、多汗があるのも女性ホルモンの影響が急激に低くなることで起こる症状とも言われています。また、産後の多汗も同じ理由だとされています。
しかし、「発汗」の機能が低下するのは、女性ホルモンの影響だけでなく加齢によっても機能が低下していきます。良く高齢者が、熱中症になりやすいというもの発汗による体温調整がうまくいきにくいために起こるとされています。
高齢者の発汗機能の低下は、全身に同じように現れるのではなく、足の先など中枢から遠い器官から徐々に現れることが多いために、身体は汗をかいているのに手足には汗をほとんどかいていないということになってしまうこともあります。
これは、汗腺そのものの機能や神経の機能の低下によるものになりますが、年齢に関わらず、交感神経の異常によって起こる「無汗症」と呼ばれる症状になる方も少なくないようです。
交換神経の異常によっておこる無汗症の場合は、特定の場所の発汗量が無くなるなど特徴的な場合もあり、腫瘍が神経を圧迫していることによって起こったりすることもあるので気をつける必要もありそうです。
たかが「汗」ということではなく身体にとって重要な役割とサイン・・・になっていますので、その性質を良く理解したうえで、身体のためにも「良い汗」をかきたいものですね。
Posted by toyohiko at 14:24│Comments(0)
│身体のしくみ