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2015年07月25日

人間にとってのストレスを考える

人間にとってのストレスを考える


 「ストレス」というものは非常に嫌なものであり出来れば避けたいものの筆頭である方も多いのではと思います。その理由としてはQOLと呼ばれる日常生活の質に大きく関わるからなのではと思います。

 強いストレスと感じるものの代表的なものは、家族などの身近な人の不幸に関わることであると、一般的に言われています。
 しかもその結果が、生死にかかわることであったりした場合においては、その後の生活が一変してしまうほどの過度のストレスを抱えてしまうことは少なくないといわれています。

 ヒトにとって、「死」というものに関わることが非常に強い衝撃を与えることは、様々なところで言われています。大きな災害や事件や事故などに不幸にも遭遇してしまい、身近な人ではなかったとしても人の「死」に直面してしまった場合においては、「心のケア」とか「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」に関する対応を・・・という話が出てくることは、現代社会においてはごく普通の事という認識があります。

 一方、多くの生物種の中でも、昆虫などの種において、同じ種同士で捕食し合うというようなことは珍しいことではありません。しかしながら、哺乳類などの比較的「脳」が大きくなっている種においては、同一種同士の捕食は少なくなってきます。
 肉食の哺乳類が草食の哺乳類を捕食することはあります。このことは、自然界において多くの種が、「死」というものに直面する機会そのものに日常性があるということを示しているようにも思われます。

 これを、「ヒト」に置き換えた場合どうかということを考えると、人間同士はもちろんのこと、比較的ヒトと近い種の「死」について日常性があるとは到底思えません。

 これは、脳の発達と大きな関わりがあるような気がするのですが、「ヒト」が「ヒト」の死に対して、脳が強いストレスを感じる事が、社会性を保つために必要不可欠な脳の特性であると考えることも自然なことなのかもしれません。

 しかし現実には、世界中を見渡した場合に戦乱は絶えない状態にあることも事実でありますし、不幸にも多くの方が「生命」を亡くすような災害に直面することも現実的に避けられない問題です。

 2011年、東日本大震災の遺体収容活動に参加した、自衛隊員の家族の話を耳にしたことがあります。任務遂行において、あまりにも乖離した非日常性に平常心を保つことが極めて困難であったことに加えて、一個人として家庭にかえった時の様子に対して、大きな戸惑いを隠せ得なかったそうです。

 国家間の利害をうまく調整することも大切なことだと思います。我が国とっても同盟国との関係は、国益にとって重要なことなのだと思います。
 
 しかし、この関係を重要視するあまりに「人」の「死」という本来であれば、非日常であるべき問題に直面する人の割合が、普通の人たちにはあまりわからないところで、増えてしまったとしたら・・・

 また、その人たちが日常社会に戻ってきたときに、本来の日常性を取り返すことができないような強いストレスを抱えたままでいたとしたら・・・

 その日常性を取り戻せなくなってしまった人が、自分の家族や、隣人だったとしたら・・・

 私たちにとって、そのようなリアリティが必要なのでは・・・という気がしてなりません。

 自然というものは、非常に変化に富んでいるために様々なストレスがあると言われています。しかし、自然の中に身を置くことで、強いストレスを感じ、日常性が損なわれるというような話はあまり聞いたことがありません。

 自然の中で生きている「人間」として、必要なストレスとそうでないストレスがあるという考え方が必要なのかもしれません。



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