2015年08月22日
身近な水の循環を考える

2014年3月に雨水という水資源を有効活用するとともに、下水道や河川に雨水が集中流入するのを防ぐことを目的とした「雨水利用促進法」や、水を「国民共有の貴重な財産」と位置づけた「水循環基本法」が成立しました。
この法律の目的は、上水というだけでなく下水との中間的な「中水」という意味での水の活用を図るために、雨水の貯留タンクの設置の増進や、外国資本による日本国内水資源を守るための目的もあるといわれています。
私たちにとって身近であり、大切な水・・・
しかしながら、普段の生活において、水道の蛇口から当たり前のように出てきて当たり前のように、下水に流れるという感覚の方も多いのではと思います。
我が国の下水普及率を考えると、浄化槽をからの河川への流入の量はずいぶん減ってきましたが、このような環境の方にとっては、使った水について違った感覚を持っている方もいるかもしれません。
一方、雨水を考えた場合・・・
家庭排水ほどでは無いにしても、多くの水がアスファルトやコンクリートの上を流れ、下水に流れ込むようになってしまっています。
逆にいいますと、表土を通じて地中に浸透する水の量が都市化が進んでいる地域においては、地中にはほとんど水が浸透せずに殆どが下水などの人工構造物に流入するということになっています。
ゲリラ豪雨などによる、生活圏での水害が増えていることなどを考えてみると、雨水を中心とした水循環の速度が従来と比較して、急激に早くなっているような気がします。
また、気温という視点で考えた場合・・・
近年、最高気温更新の話題があるなかで、平均気温を比較した場合に過去と比べてさほど変化がないという話を聞くことがあります。これは、観測点である百葉箱の設置されている環境が、近年の都市化されたコンクリートを中心とした人工構造物で取り囲まれた環境を異なることもあり、体感的な気温も含め差が出てきているのかもしれません。
一般的な、水循環は、海洋及び陸地から水蒸気として大気中に上昇し、雨水となって陸地に降り注ぎます。その水が、森林や地下水、さらには河川や湖沼に蓄えられることによって、私たちがその恩恵を使用することができるという仕組みになっています。
そこには、出入り口である表土も含めて「土」が、大きな関わりを持っています。地下水脈も何千年・何万年という歳月を経てつくられてきたものだと思います。それがここ数年の急速な都市化によって、表土が、透水性が低く熱を蓄え続けやすい人工構造物で覆われるようになったことの影響を考えていかなければならないのではないでしょうか。
街中の公園で小型のセミであるニイニイゼミが見られなくなった・・・という話をよく耳にします。
この原因については、地球温暖化という話がある一方で、表土が固くなってきたことで、小型のセミが地中から出てきて羽化することが難しくなったということを言う意見もあります。
この話は、いずれにしても表土が固くなれば固くなるほど、コンクリートと構造が似てくるといことを考えれば、「ニワトリと卵」の関係かもしれません。
身近に起こっている、水による災害、ヒートアイランド現象を中心とした気温の上昇・・・
身近な「土」のチカラを見直すことで、水循環の速度の緩和を含め一人ひとりができることがまだまだあるような気がします。
「草が生えるのが嫌だから、モルタルで埋めてしまおう・・・」というような発想ではなく、水循環の健全化に対して出来ることはまだまだあるような気がします。