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2015年11月21日

遺伝子から見る脂肪と炭水化物

遺伝子から見る脂肪と炭水化物


 「卵」は、皆さんご存じだと思いますが、この卵という食品に関して今まで様々な議論が行われてきました。例えば、アレルギー源としての食品、「高コレステロールなので1日1個までしか食べるのを控えましょう。」というような情報、アミノ酸スコア100の栄養的に優れた食品、数十年にわたって価格上昇のない物価の超優等生・・・など

 1つの食品をとってみても実に様々な、とらえ方があります。そのとらえ方についても、文化や伝統的な習慣によるものもあれば、商売上の利害に起因するような側面的な科学情報によってそのように思い込まされている。など、要因そのものも様々であるということです。

 特に、商売上の利害ということが過度に優先された事例の場合については、その事業者が本当の意味で、消費者の健康について考えているだろうか。という疑問も払拭できない部分があるのも事実です。

 近年では、栄養について様々なことが科学的解明してきていますが、その一方で様々な病気による社会的不安が減少しているという実感は無く、むしろ複雑化しているのでは・・・とさえ思うところもあります。

 最近、多くの場面で目にするキーワードがあります。それは、「私たち人間の遺伝子は、人類が誕生したころの飢餓状態に備えるように出来ている。」というような内容です。
 
 このような観点からすると、タンパク質、脂肪、炭水化物の3栄養素ついていえば、タンパク質の摂取量は20%あまり変化はありませんが、炭水化物についていえば5%から60%に上昇し、それに伴って、脂肪は75%から20%に減少したといわれています。
 基本的に飢餓状態であるということからすると、総カロリー摂取量は当時は随分少ないということが容易に想像されますが、数千年にもわたる長い間そのような食生活をしていたということであれば、身体のその栄養摂取状況にあったものになっているといういこともある意味、納得できるものであります。

 そのような中で、市場では「低脂肪」「低コレステロール」というキーワードの洪水に溺れて、ついつい反応しがちになってしまいます。
しかし、「脳」自身が脂肪を要求しているということや、コレステロールについても、食品から摂取するよりも、体内で産生するものの割合の方が多いとさえいわれ始め、低コレステロールによる精神に関わる様々な、症状との関連も指摘され始めています。
 
 確かに、トランス脂肪酸のように、摂取することで明らかに多くの慢性疾患のリスクがあるというような報告のある、ものもありますので、「良い脂肪」を選択して摂取することも大切です。

 また、炭水化物についても、そもそもほとんど摂取せずにいた時代が長いということからしても、本当に必要なのかという疑問をもと始めている人も多いようです。
 米国の精神科医のデイビット・パールマターも著書で、「人類は、大量の炭水化物をさほどうまく処理できない。」と述べており、炭水化物を上手に栄養素として利用し、代謝するという身体になっていないというようなことを述べています。

 これらのことは、1962年に遺伝子学者のジェームス・ニールが提唱した「倹約遺伝子仮説」によって、多くの部分が説明されているようですが、この倹約遺伝子が「脂肪を蓄積せよ」という指令を無視するようになるまでには、4万年から7万年はかかるといわれているそうですので、「変化した食生活」と「変化しない身体」をどのようにして折り合いをつけるかを考て行く必要がありそうですね。



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