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2015年12月26日

カロリー表示と代謝量

カロリー表示と代謝量


 「カロリーが同じでも、代謝が同じとは言えない・・・」この表現は、アメリカの小児内分泌学者のロバート・ラスティング氏が好んで良く使った言葉だそうです。

 例えば、グラニュー糖は糖質のもっとも単純な構造をしているグルコースとフルクトース(果糖)が結合して出来ています。このように、ジャガイモから100kcal分のグルコースを摂取するのと、同じ100kcalでも、半分がグルコース、もう半分がフルクトースの場合は、体内で起こる代謝の様子がことなってきます。

 フルクトースは、肝臓で処理されますがグルコースは体内のすべての細胞で処理されるという特性がありますので、体内での反応が異なります。

 一つは、肝臓が代謝するために懸命に働かなくてはならないので、ある意味負担がかかるということになります。もう一つは、自然由来の炭水化物の中でもっとも甘く、最もGI値(グリセミックインデックス)が低いということもあり、糖質の血中濃度が上がりにくいということになりますので、血糖値が急激に上がりにくいという面があるということもありますが、その分、満腹感が得られにくく過食につながる恐れもあるという指摘もあります。

 フルクトースは、果物や蜂蜜など自然に含まれている糖質なのですが、自然由来のまま摂取する場合と人工的に精製したものとも、一緒に摂取する食物繊維など代謝の速度への影響が大きいといわれています。

 さらに、最近、多くの食品に利用されているブドウ糖果糖液糖ですが、これは、グラニュー糖とも組成が異なり、55%のフルクトースと42%のグルコース、3%の他の炭水化物で出来ています。
精製されている分だけ体内での代謝速度が速く、肝臓への負荷についても議論のある糖質の一つですが、何よりも、安価なためにありとあらゆる加工食品に利用されていることによって、知らず知らずのうちに過剰摂取になってしまっているといういことです。

 昔から三大栄養素といわれている、タンパク質、脂肪、炭水化物・・・摂取カロリーの中におけるこの3つの栄養素のバランスを考えていくには、身近な糖質の特性を理解するとともに、食文化の変化や加工食品の増加によって、自分自身の意識していないところでの糖質の摂取が思った以上に多いということを認識する必要があると思います。

 「健康に気をつけて、生野菜のサラダをよく食べる・・・」という場合も、野菜に市販のドレッシングをかける場合には、商品についている食品表示のラベルの原材料名をよく確認していくことも必要です。
 多く場合、様々な糖類の名前がそこに記載されていることに気付くはずです。このことは、他の加工調味料についても同じことが言えると思います。

 この場合、食べている本人のほとんどは、ここで摂取している糖質については「意識の外」になっていることが多いのではと思います。どのような形で食べようと糖質は糖質として身体が受け入れ、代謝するということでは同じということです。

 つまり、加工調味料も含めた加工食品に頼りがちな、現代の食生活の中では、結果的にどうしても糖質過剰になりやすい・・・ということを頭に入れたうえで、それぞれの特性を踏まえたうえで、食生活を考えることが大切なのだと思います。

 いずれにしても、加工品頻度の少ない食品のほうが、食物繊維を始め、酵素やミネラルも含め代謝に良い影響を与える食品のような気もします。




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