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2016年02月07日

乳酸菌などの善玉菌の継続摂取は何故必要か・・・?

乳酸菌などの善玉菌の継続摂取は何故必要か・・・?


 乳酸菌やビフィズス菌などの、いわゆる善玉菌が入った食品はたくさんありますが、そのCMなどをみると「・・・続けてお試しください」などの「続けて」というキーワードが多いことにお気づきの方もいるかと思います。

 あの「続けて」の意味は、企業がその商品の売り上げのためにそのようなPRをしているのではなく、実は、人間の消化管の仕組みにとって「続けて」良い菌を摂り続けることが必要だということを、ご存じでしたでしょうか。

 最近は、腸内フローラという言葉が多くの方に知られるようになったので、多くの方がご存じかと思いますが、人間の小腸や大腸の中には、数100種類、100兆個の腸内細菌がいるといわれています。

 その、腸内細菌は、人によって種類や割合が異なっており、言ってみれば「指紋」のように固有のものだというようなことも分かり始めています。
 そこには、「善玉菌」と呼ばれる人間にとって良い働きをするといわれている腸内細菌を始め、「悪玉菌」、場面に応じてその趨勢に合わせて働きをしていると考えられている「日和見菌」の3つに分類されています。

 その3つの割合については、正常な人の腸内フローラでは2:1:7とされていますが、この割合は、人によって様々です。ここで、重要なのは一番割合が多いのは「日和見菌」であるということです、つまり、この日和見菌のどのように影響を受けるかということが重要なので、常に善玉菌を優勢にしておくことが良いといわれています。

 もうひとつの理由は、先ほど腸内フローラは人によって違うと言いましたが、この構成はなかなか変わらないといういことです。人の腸内フローラは生後無菌状態だったころからいろいろな腸内細菌に触れることによって固有の構成が出来上がります。この人それぞれの固有の菌を常在菌と呼びます。
 一度出来上がった固有の常在菌は、以外にも団結力がつよいようで、それ以外の菌を身体の外に出そうとする働きをします。残念ながらこれは、自分にとって良い働きをする菌も同じということなのです。

 これは、腸管免疫システムを始め人間が自分の身体を守るためのもっとも大切な仕組みの一つの働きによってこのようなことになるのです。
 実際には、善玉菌の入った食品を食べたとしても約1週間で、その善玉菌のほとんどは身体の外に便と一緒に排出されてしまうといわれています。

 「続けてください」の理由は、実はここにあるのです。

 つまり、いくら「良い菌を摂って健康のために・・・」と考えても、またもとに戻ってしまうということなのです。また、多くの人が良い菌といわれる菌をとるとその菌が直接作用すると考えているかもしれませんが、市販されている食品に含まれている菌の数からすると数億から数100億になりますので、100兆分の数億という比率を考えても、「そこに入ってきた訪問者を、自分の常在菌が歓迎して楽しい時間を過ごせるようになる・・・」というようなイメージで理解すべきなのだと思います。

 多くの研究者が、「自分にあった菌」ということを言うのも、このような理由からだと考えれば理解できる方も多いのではと思います。

 自分の腸内フローラが「楽しい時間を過ごせる」のであれば、毎日訪問されてもストレスもなくいつも楽しい・・・というわけです。「毎日1本」というキャッチフレーズを多くの場面で目にする理由はこういうことなのです。

 当然、そういうことであれば、菌の数は多いほうがいいのですが、「多くて、かつ毎日」が大切ということになりますし、一部の特定保険用食品に表示されているような、「腸内環境の改善」という保健効果も薄れてしまうということになります。

 そんなことであれば、そのような菌が常在菌にならないの・・・と思う人がいると思いますが、これが、最近良く耳にする「便移植」などの方法なのですが、クロストークといわれる菌同士の相互作用など、まだまだ課題も多くそうは簡単にはいかないというのが現状のようですので、ひょっとすると、「毎日1本」のほうが簡単なのかもしれません。




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