2016年02月27日
朝食と健康との関係を見直してみよう

健康の秘訣に関する数多いキーワードの中で、「早寝、早起き、朝ごはん」という言葉があります。このように朝食の重要性については色々な場面で言われています。
その一方で、平成25年「国民健康・栄養調査」の結果によりますと朝食の欠食率は、男性 14.4%、女性 9.8%であり、性別・年齢階級別にみると、男女ともに 20 歳代で最も高く、男性で 30.0%、女性で 25.4%となっており、年代性別の差はありますが全体的には増加傾向になっています。
この場合には、男性と女性の場合とでは少々欠食の理由が異なるようで、「時間が無い」というような理由が男性に多いのに比べて、女性は「痩せたい」というような理由が多いようで、動機や健康に関する考え方の違いが出てきているようです。
そのような中、大阪大学の磯博康教授らが「朝食を食べる回数が週2回以下の人は、毎日食べる人に比べて脳出血の危険性が36%高まる」というような研究結果を米国の医学誌に報告したそうです。
磯教授などによりますと、人間が朝起きると、コルチゾール等のホルモンの影響で血圧の上昇を招くのですが、朝食を摂ることによって、5~10mmHg位の血圧降下作用があり上がりすぎるのを抑える作用があるそうです。数値的にはさほど多いいように感じないこともありますが、毎日といういことになりますので、身体にかかる負荷ということで考えた場合に大きな効果になっている可能性があるというようなことのようです。
現実に、睡眠というのは自律神経と非常に関係していますので、副交感神経が優勢な状態でないとうまく眠れなかったり、逆に起床時には交感神経が優勢にならないと、気持ちよく起きられないなど、身体のなかで様々な機能が複雑に作用し合っています。
そういった意味では、今回の研究結果をうけて色々と考えなければならないことは多いように思いますが、「だから、朝食を食べよう・・・」というような単純な話になりにくい現実に目を向ける必要があるような気がします。
なぜ、朝食を摂ることが出来ないのかをよく考えて生活習慣や、その習慣をなかなか脱することができにくい社会の仕組みを考えなおす必要もあるような気がします。
朝食を摂らない、理由を考えてみると、「準備が面倒くさい」から、始まって「就寝時間が遅く起きされない」「夕食がいつも遅くて、朝食べる気がしない」など、様々です。
ここに、上げた理由をもうひ一つさかのぼってみると、「なぜ面倒くさいのか・・・」ということになり、「一人だからどうでもいい・・・」とか、「一人で食べる食事は美味しくない・・・」とか、ライフスタイルや社会とのつながり方の問題になってくるような気がします。
近年は、年代に関わらず単身世帯が増えている傾向にあるというようなこともありますので、この理由も考えていく必要もあるのかもしれません。多くの方が会社という組織の中に従属しながら生計を立てて暮らすというライフスタイルに関しても、転居を伴う移動や単身赴任というような世界的に見ても稀有な習慣が多くの人たちに「あたりまえ・・・」として受け入れられていることなど、たかが「朝食なんだから、食べればいいじゃないか・・・」というような話ではなく、社会のなかの様々な課題が見え隠れしているような気がします。
健康の3つの要素の中に「社会の安寧」という言葉があります。「朝食」というキーワードから身体の健康だけでなく、社会との関わり方であるライフスタイルも考えてみませんか。