2016年03月04日
乳酸菌とアレルギー

春になると、「花粉症」に悩まされる方々が沢山いると思います。多くの方がご存じのように、花粉症というのは、スギやヒノキなどの花粉が原因で起きるアレルギー症状のことで、自身の免疫力の調整がうまくいかず自身の身体を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。
この花粉症に悩まされるひとは、3割とも4割ともいわれていることもあり、手軽に摂ることのできる食品で症状の緩和なども含めて対策をとることが出来ればということに多くの方々注目を集めています。
その中でも、注目されているものの一つが乳酸菌です。
実際に、乳酸菌のアレルギーや免疫調整作用に関する研究も多く行われています。
イギリスの食品研究所では、2008年にイネ科のアレルギーに関する抗体(IgE抗体)を持っている18~45歳の20名を、2つのグループに分けてL.カゼイ.YIT9029株という乳酸菌の入った飲料と入っていない飲料(プラセボ)を1日1本5ヶ月間(4~8月)飲んでもうという実験を行いました。
その結果、血液に含まれるIL(インターロイキン)5と呼ばれる免疫指標を調べたところ、IgEというアレルギーに関する抗体が6割近くに抑えられたり、IL5という目免疫指標も2割位に抑えられたという報告がなされています。
また、おなじL.カゼイ.YIT9029株を使った実験ですが、2006年に国内で、スギ花粉の症状に悩まされている109名(平均32.7歳)にこの乳酸菌が400億個入っている飲料を2月初旬から8週間に継続的に飲用してもらい、鼻炎症状などのアレルギーに関する自覚症状を調べたところ、約2週間ほど悪化するのが遅れてくるというような報告もなされています。
このことは、腸内フローラをはじめとする腸内環境が、腸管免疫もふくめ免疫作用に大きく関わっていることへの関心の高さも含め、研究も盛んになってきているようです。
特に、自己免疫疾患という言葉があるように免疫システムは、自然免疫系と獲得免疫系のそれぞれの役割のバランスが重要で、弱いのはもちろんいけませんが、全体のバランスとして強くなりすぎているということも身体に悪い影響が出てしまう原因になってしまいます。とくにアレルギーなどの症状は、抗体などの獲得免疫系が相対的に強くなりすぎるのことによって起きてしまう症状と考えられられていますので、免疫力アップだけでなく、免疫調整作用ということが特に注目されています。
また、乳酸菌と免疫との関係の中で注目され、多くの期待を寄せられているのも「免疫調整作用」と言われています。