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2016年03月11日

「生きて腸まで届く」をあらためて考える

「生きて腸まで届く」をあらためて考える


 腸内フローラという言葉が、認知される中で乳酸菌を利用した食品に「生菌」と「殺菌」の二つの種類があることはご存知でしょうか・・・?

 二種類あるということになりますと、「いったいどう違うの・・・?」という疑問が浮かぶ方が、沢山いると思います。
乳酸菌には色々な種類がありますが、糖質や食物繊維などをエサとして摂取して、乳酸や酢酸などの酸を代謝する微生物の総称になります。
 
 つまり、生きていれば「エサを食べ代謝物を出す・・・」ということになりますので、「酸」を出すということになりますので、生きている乳酸菌のおかげ?でその食品は酸味を帯びているということはこのような理由にあります。

 乳酸菌を利用しているが「殺菌」している食品については、以前は、風味付けのためだけに利用していると考えられていました。
しかし、後になって「乳酸菌は死んでも効果がある・・・」ということが次第に分かってきました。

 その根拠としては、死んだ乳酸菌の細胞殻も含めた死骸はプレバイオティクスと呼ばれる「善玉菌のエサ」になることによって、もともと飲用した人のお腹の中にある善玉菌が増えることに対して効果があると考えられているからだそうです。
 しかしながら、死んだものでありながら、クロストークと呼ばれる乳酸菌同士の相互作用や、死んだ細胞殻のタンパク成分のアレルギー反応など、わからないことも沢山あります。

 さらに、「生きたまま」との違いを考えてみますと・・・

「生きたまま」にすると、乳酸菌そのものの細菌の活動をコントロールして、食品の味覚やそのほかの状態を維持する必要があります。
 「生きた菌が入っている乳酸菌飲料」などが、10℃以下で管理するようにしているのは、生きた菌が増殖したりしないように、仮死状態を保ち続けるためです。

また、生きているということは、エサを摂取して、酸を代謝するという性格上、人間のお腹の中に入った時に、もともとおなかの中にある善玉菌が増えるという効果のみならず、摂取した「生菌」が出した酸によって、酸に弱い悪玉菌が劣勢になる・・・ということです。

 このことは、食品の保存を考える時に、「酢で〆る」など酸を使うことにより、腐敗菌を増やさないということをお腹の中で行っていることと同じ原理で、いいかえれば、腸内腐敗を防ぐということになります。

 現に、医療の現場でも「シンバイオティクス療法」とよぼれるような、善玉菌と善玉菌のエサになるオリゴ糖などの難消化性の糖類を同時に摂取することで、手術後の感染症の予防効果のみならず、身体へのダメージを少なくすることで入院期間の短縮などの効果を得ているというようなこともあります。
「生きた菌をエサと一緒にお腹の中に入れる・・・」効果というものは、死んだ菌よりも身体にとってより優位ということが考えられます。

 ここで、勘違いして欲しくないのは、「良い菌」と呼ばれている乳酸菌の種類でも、腸内で定着するわけでもなく、一定の時間で体外から排出されてしまうということです。
 そのためにも、自分に合った「生きて腸まで届く良い菌」を継続的に摂り続けることが大切・・・ということをお忘れのないように・・・。



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