2016年03月18日
免疫力アップと免疫調整機能

感染症やアレルギーに関与し、腸内フローラにも大きく関係しているといわれている免疫ですが、この説明の中に「免疫力アップ」と「免疫調整機能」という大きく分けると二つの表現があるのをご存知でしょうか。
一見の「同じようで、同じでない・・・」二つの違いを考えてみたいと思います。
まずは、「免疫力の強化」および「アップ」ですが、文字通り弱った免疫力を回復させる力で、クルマでいえばアクセルのような働きです。
すでにご存じの方も多いと思いますが、NK活性というような言葉があるように、さまざまな免疫細胞が、元気で機能しないことには身体の健康は守れないことになってしまいます。
そのためには、外敵が入ってきたときにしっかり機能するように、それぞれの免疫細胞が連携をとって、言ってみれば「見張り番」と「実行部隊」・・・さらに「戦いの結果を検証して次に備える」というそれぞれの役割があります。
ここで、大切なのは免疫細胞が「相手にあった戦い方をするか・・・」ということです。
例えば、家の中のゴキブリを殺すのに大砲を使う人はいません・・・ これは、大砲の機能では大きすぎて、家が壊れてしまうからです。
少々、大げさな表現と思われる方もいるかもしれませんが、アレルギーというのはこのように、「敵でないものを、敵とみなしてしまい自身の身体を攻撃してしまう状態」です。
しかし、ブレーキのついていないクルマを運転する人がいないのと同じで、対象にあわせて機能を調整するというブレーキが必要なのです。
免疫細胞にも、色々な種類がありますのでそれぞれの連携がうまくいかなくなることもあります。つまり、ブレーキとは免疫力を弱めるのではなく「乱れた免疫を整える働き」が免疫調整作用なのです。
最近の腸内フローラの研究では、このメカニズムの解明も進んできています。
これらの研究によりますと、L.カゼイYIT9029株(通称:乳酸菌シロタ株)について、他の乳酸菌の菌株とは違った特殊な細胞壁を持つことによって、免疫に関するアクセルとブレーキの両方を持ち合わせる特有なものであることが解ってきたそうです。
免疫細胞の中にマクロファージといわれる、菌を食べて溶かすことによって菌の情報を得て、他の細胞に情報を伝達する働きをするものがあるのですが、その情報のもとになるのが「溶けにくさ」と「細胞壁多糖」といわれています。
L.カゼイYIT9029株の場合、細胞壁が網目状の分厚いユニークな構造をしているために、マクロファージに貪食されても溶けにくく、この性質から免疫細胞を効果的に刺激し低下した免疫を回復するアクセルに関与したり、アレルギーの原因となる炎症反応などを整えるブレーキの双方に作用するということのようです。
実際に、台湾で発売されているL.カゼイYIT9029株を使った飲料には、「免疫調整作用」という表示が許可されており、表示されています。
自分の身体にあった腸内細菌を探すのは大変なことかもしれませんが、具体的な研究成果なども参考にしながら、いろいろを試してみることも大切だと思います。