2016年03月26日
下痢のメカニズムを考える

昔から、「女性は便秘、男性は下痢になりやすい・・・」といわれています。これは男性の方が、アルコールや冷たい飲料、脂っこい食べ物を好むというような食の嗜好や、社会的にストレスを感じやすい立場の方が多いためと考えられています。
「下痢」という言葉は、お腹が絞めつけられたり、痛みがあったりノロウィルスなどの消化器系の感染症の症状の一つとして・・・と腹痛のイメージと重なったりする方も多いと思います。
下痢の定義として、水分が85%以上となり泥状あるいは水状になった場合を指すのですが、ポイントは便の中の「水」です。
下痢のタイプとして大きく4つにわかれているとされていますが、その4つの分類も大きく2つにわかれています。
水分という視点で考えると、口から取り入れた水分がうまく吸収できずに水分量が多い場合と、腸管内に水分を分泌することによって水分を腸自身が増やす場合です。
多くの方は、おなかの中の水分は口から入ったものが基準で、それからは減っていくだけ・・・というイメージを持っているかもしれませんが、大腸では体内と水分の調整を常に行っていて、場合によっては水分を調達している・・・という基本的なことを知っておく必要があります。
よく、下痢がひどく、水分補給もままならないのに・・・、何故、水便だけは出続けるんだろう・・・?
というような疑問を持った方もいるかと思いますが、これがまさに体内の水分を腸内に分泌しているから水便が出続ける・・・ということになります。
逆に言いますと、これを放置すると脱水症状がひどくなるということもうなずけることになるかも知れません。
4つの下痢のタイプについては、まず、「浸透圧性下痢」といわれ、食べたものの消化や吸収がされにくい物質によって、腸管に負担がかかり体外に排出しようとするために水分分泌を誘導するタイプです。
代表的な例としては、「牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする・・・」場合の下痢がこれにあたります。
次は、「浸出性下痢」です。これは細菌やウィルスなどの感染症の罹患時に起こる下痢がこれにあたります。これは、感染時に起きる腸管の炎症や傷ついた腸壁から水分がにじみ出るタイプのものですが、感染源である細菌やウィルスをできるだけ早く身体の外に出すという生体防御反応の一つでもあります。
3番目の「分泌性下痢」も「浸出性下痢」とよく似ているのですが、同じように病原体が出す毒素やホルモン異常のために腸内に過剰に水分が分泌されるためにおこるものです。
よく、「アルコールを飲みすぎると、便が緩くなって・・・」という方も多いかもしれませんが、これも2番目の浸出性や過度なアルコールを毒素と感知してしまう3番目の分泌性の複合型を考えられています。
4番目の「腸管運動亢進性下痢」は、少々今までの3つと異なり、ストレスなど自律神経のバランスが崩れ、腸管神経の影響で大腸の運動が活発になりすぎてしまい腸管の水分吸収が間に合わないというものです。「急激なストレスで、おなかが緩くなる・・・」というような症状がこれにあたります。
ひどくなってしまうと、過敏性腸症候群のような症状につながる恐れのある厄介な症状でもあります。
単純に「下痢」といっても、要因もそのメカニズムも様々です。
自分の身体をよく理解して、対処する方法を身につけておくと良いですよね・・・
Posted by toyohiko at 12:02│Comments(0)
│身体のしくみ