2016年04月09日
腸内腐敗をあらためて考える

腸内腐敗という言葉を聞いたことがありますでしょうか・・・?これは言葉の通り、腸の中で腐敗・・・つまり、食べ物の残渣などが腐ってしまうことを言い、実際にこのような現象が身体の中で起こってまうことがあるということを知っておく必要があると思います。
人間の体温は平均的に36℃くらいといわれていますが、この温度で食品を放置したら・・・という状況をイメージしてみてください。
もし、このような状態のものが蓋つきのバケツに入っていたとしたら「何の躊躇もなく、あけることができる・・・」という方は少ないと思います。
その理由は、多くの方が、バケツの中が腐っていて強い刺激臭とともに見た目もひどい状態になっていることが容易に想像できるからです。
このバケツの中身を、「長時間便の出ない、腸の中・・・」というように、イメージを置き換えてみてみましょう。
この状態が、「腸内腐敗」ということになります。
この「腐敗」は、「発酵」と同じように、細菌などの微生物によって発生します。
もう少し、具体的にいいますと、細菌も生物と同じような摂取と代謝というサイクルによって生命を維持しますので、この場合、腸の中では食べ物の成分を分解して、菌にとって必要な成分を取り込み、その代謝物として新しい物質を作り出すのです。
その時に、ヒトにとって有益な成分を代謝する場合を「発酵」、有害な成分を代謝する場合を「腐敗」と呼びます。
つまり、この定義からしても、「腸内腐敗」というものは「人間にとって有害が成分が腸内に貯まる・・・」というように言いかえることもできます。
ここで、多くの皆さんが気になるのが、有害な物質というのがどのようなもので、身体にとってどのような影響を与えるのか・・・ということになります。
腐敗菌の多くは、たんぱく質やアミノ酸からアンモニアや硫化水素、p-クレゾールやインドール、フェノールなど、肝機能の低下や呼吸毒、免疫抑制など・・・さらには、発ガン性物質とよばれるものまで発生するリスクもあるということがあります。
つまり、腸内腐敗というものは「有害菌」によって引き起こされるということです。
よく言われる、悪玉菌といわれるものがこれにあたります。一方、善玉菌はヒトの身体に対してどのような働きをするかといいますと、多くの善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌がこれにあたるのですが、これらの菌は、食物繊維やオリゴ糖など人間が消化できない成分から乳酸や酢酸をつくるという性質を持っています。
言いかえれば、この善玉菌がつくる乳酸や酢酸によって悪玉菌を抑えるということになります。このような作用は、日常の食文化の中でいえば、おにぎりに梅干しを入れて食中毒を予防したり、鯖などを酢で〆たりするのと同じようなことが腸の中で行われていると考えるとわかりやすいかもしれません。
実際に、乳酸菌の入った特定保健用食品の許可表示の中で、「・・・良い菌を増やし悪い菌を減らして、腸内の環境を改善しおなかの調子を整えます。」という記述は、ヒトと対象とした臨床実験を重ねたうえで消費者庁が表示する内容を認めた・・・ということになります。
便秘は、もちろん・・・腸内の腐敗という視点で、日ごろの食生活を見直すことも大切だと思います。
Posted by toyohiko at 20:53│Comments(0)
│身体のしくみ