2016年05月14日
乳酸菌の数と健康効果の関係

最近では、「腸内フローラを良い状態に保つための食生活」というような提案が様々なところでなされています。その中で、「どのくらいの量が良いのでしょうか・・・?」という疑問を持つ方もいるのではと思います。
先日も、述べましたように菌は小さすぎるために普通の状態で数えることができません。そのためにどのくらいが適量であるかということは、通常の食生活ではあまり実感することも、また、意識することも少ないと思います。
ヨーグルトや乳製品乳酸菌飲料のように含まれる菌の数をパッケージやそのほかの方法で案内しているものについてはまだわかりますが、ましてや、そうでないものについては知るすべもないというのが実情だと思います。
例えば、漬物や味噌・醤油などの醸造品は乳酸菌に限らず様々な微生物が行う発行という過程によってできていますので、当然、「良い菌」は含まれている訳ですが、製造の過程で殺菌をしているものやそうでないものなど色々あり詳しい表示を読み取る力が無いとなかなか意識することが難しいのが現実です。更に、「自家製」だったりするともっとわからない・・・ということになります。
そういったこともあり、「菌の数」というものはあまり意識せずに来ている方がほとんどかと思います。
そのような中、食品などから摂取する菌の数によって腸内環境の変化がどのようになるかという研究もあります。
具体的には、L.カゼイ・シロタ株を使い、全く乳酸菌を摂らない場合と、少しの量を摂取した場合(低菌数群)さらに沢山の量を摂取した場合(高菌数群)の3つのグループに分けて、便の硬さなどの状態や排便回数を調査することによって整腸効果を評価たものです。
この研究では、3つのグループを性別、身長体重など体格に関することや、もともとの排便状態などを加味し、慎重に解析を行っています。
その結果、飲用する菌数が多いほど便の硬さや排便回数が改善されることが明らかになるとともに、別の実験でも、飲用する菌の数が多いほど便から検出される菌の数も多いことが解っています。
乳酸菌の特徴のひとつとして、乳糖などの腸内にある糖類や食物繊維を摂取して、乳酸を産生するということがあります。
当然、酸の効果で腸内腐敗が抑制されるなど様々な健康効果につながるのですが、この効果が摂取する菌の数によって高まるということもこの研究によって証明されているということになります。
自分たちの身の回りにある、発酵食品や飲料も入っている菌の数を意識することで、健康効果がより高いということになれば、より多くの種類の発酵食品を食べるようにしてみたり、入っている乳酸菌やビフィズス菌の数が明記してあるものを積極的に取り入れることも試してみてはいかがでしょうか・・・。
ただ、どんな菌でも腸内フローラが出来上がってしまってからは新たな菌は定着しないとされていますので、「自分にあった菌を、継続的に摂り続ける・・・」ことを忘れないようにしてください。