身体のチカラ › 食べ物を選ぶ › 食の文化 › 学校給食と食育

2016年05月29日

学校給食と食育

学校給食と食育


 1954年に制定された学校給食法が2008年に改訂されました。実に半世紀以上経過してからの改訂です。
 改訂された学校給食法によると、学校給食の目標として次の7つを挙げています。

1. 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること
2. 日常生活における食事に正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと
3. 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと
4.食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと
5. 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと
6. 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること
7. 食料の生産、流通及び消費について正しい理解に導くこと

 この7つのうちの1,2,3,7については、1954年当時のもの同じであるということが、この学校給食法の特徴が表れているような気がします。
 学校給食法というものは、義務教育の子どもたちに対して規定される推奨法ということもあり、きわめて理念的なものであり、各自治体や教育委員会の裁量にゆだねられているということろもあります。

 学校給食そのものは、1889年、山形県鶴岡町の私立忠愛小学校提供されたものが始まりとされています。その後、1923年の文部次官通牒に「小学校児童の衛生に関する件」児童の栄養状態を改善するために学校給食を奨励する記述があり、当時の食糧不足がきっかけになったということは言うまでもありません。
 また、このように成長期の子どもたちが同じものを一斉に食べる日本の学校給食制度は世界的に見ても珍しいシステムであると同時に、高度経済成長とのかかわりも欠かせないという考え方をする方も多いようです。

 昭和30年代当時の支援国であったアメリカからの食糧援助品の小麦や脱脂粉乳などが提供されるメニューに対して大きな影響を与えたことも否めないと思いますが、この「学校給食の目標」を見てみると、その当時から食育に対する大きな役割を担っていたということはあるような気がします。

 食育という視点で考えると、まずは選食力、食を通じて生活のマナーを身につける、さらには食を通じて社会を考えるという3つの大きな役割があります。
 「学校給食」の著書である牧下圭貴氏によりますと「最近の家庭では子どもが食べたいといった献立を作りがちですが、食経験の浅い子どもの好みを優先させると限られたメニューしか出てきません。そこで、学校給食が食の経験を広げる役割を担う面も出てきました。」というように、味覚も含めしっかりとした「食経験」を成長期である子どもの時期に積み重ねることが大切だと思います。
 
 このような経験が、世界遺産にもなっている「日本食」という素晴らし文化を継承しさらに発展していくためにも大切なことです。さらに、前出の牧下氏によりますと、学校給食にはあらゆる意味での「教材」という役割がある・・・ということです。

 アレルギーの増加や子どもの貧困を始め、様々な社会的な課題が山積する中、学校給食が果たす役割にあらためて、関して色々と考えていく必要がありそうですね・・・



同じカテゴリー(食べ物を選ぶ)の記事画像
プロバイオティクスは、お腹の中でどうなっているのか
「我が家の味」と腸内フローラ
プロバイオティクスを活用した治療について考える(Ⅰ)
腸内細菌は身体に悪い物質もつくってしまうのか?
腸内環境は何故悪くなってしまうのか・・・?
プロバイオティクスの新たな可能性について考える
同じカテゴリー(食べ物を選ぶ)の記事
 プロバイオティクスは、お腹の中でどうなっているのか (2025-02-28 10:21)
 「我が家の味」と腸内フローラ (2025-01-24 13:55)
 プロバイオティクスを活用した治療について考える(Ⅰ) (2024-11-08 10:52)
 腸内細菌は身体に悪い物質もつくってしまうのか? (2024-11-01 09:29)
 腸内環境は何故悪くなってしまうのか・・・? (2024-10-18 16:11)
 プロバイオティクスの新たな可能性について考える (2024-08-23 16:21)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。