2016年07月01日
お口は第四の消化器官

口腔ケアの大切さというものは、皆さんご存知なので今更いうまでもないと思いますが、虫歯や歯周病の予防という観点だけでなく、食べ物の栄養素を吸収するための消化器官の一つとして今回は見ていきたいと思います。
食べ物の消化という考え方でいきますと、胃、小腸、大腸というのは多くの人が比較的すぐにイメージできる消化器官なのですが、その一方で口腔内というのはその中でも重要な役割を占めているのです。
実際に、高齢者の肺炎につながるような感染症に関して、一番の予防というのは口腔内を清潔にして、悪い菌がいないようにすることが一番だと言われています。
云いかえると、「歯磨きをすることで、感染症の予防になる・・・」ということです。
モノを食べたときの口の中で行われていることは、「歯によって、食べ物を細かくする・・・」「唾液によって、第一の殺菌とデンプン質などの消化を行う・・・」ということです。これは、この後に引きつぐ胃などの機能に対して、少しでも負担の無いように下準備をすることが大切です。
このことは、「良く噛む」という言葉で置き換えることができますが、「噛む」という行為と「唾液」とは密接に関係していることは皆さんも良くご存知かと思います。
「噛まずに飲み込むような食べ方」が多かったり、やわらかいものばかり食べる癖が付いている人は、唾液が出にくい状況になってしまうそうです。その症状がひどくなってしまうとドライマウスと言われ、殺菌の役割をする唾液が不足してしまい口臭がひどくなったり、歯周病などの口腔内感染症が進む原因につながるとも言われています。
歯の健康の中で、皆さんが一番気にするのは「虫歯」です。この虫歯の原因は、ミュータンス菌という乳酸球菌仲間によることが分かっています。
このミュータンス菌は、汚れと一緒に歯の成分にくっつく性質があり、くっついた後に酸を出して歯のエナメル質を溶かしてしまうことによって虫歯になることが分かっています。
そういうことであれば、虫歯の予防は2つに絞られます。まず、一つは、殺菌剤である唾液が常にでる状態かどうか・・・ということと、二つ目は汚れを取り除くための歯磨きです。
この、歯垢とかプラークと呼ばれるよばれる汚れのかたまりのほとんどは虫歯菌であるミュータンスや歯周病菌であるジンジバリスなど歯や歯の付け根から歯根にかけて悪さをしようとする「菌」です。ですから、この菌を取り除いてやることが大切であるというとは多くの方はご存知かと思います。
ただ、実際に歯磨きをする立場で考えると、「毎日丁寧に歯磨きするのは大変・・・」という気持ちになる方も少なくないと思いますので、どのような歯磨き剤を使うと良いのかを考えてみたいと思います。
現在の日本では、歯磨き剤に使われる基材と呼ばれる基本的な成分と薬用成分と呼ばれる殺菌成分などは、厚生労働省で許可されたものしか使用できないということがありますので、どの会社のどのブランドの歯磨き剤でも基本的に同じものしかつくれないという現実があります。あとは、メーカーがどの成分を重点的にPRするかというマーケティングの話になるのですが、一つの成分だけはメーカーやブランドによって違うものがあるのだそうです。
その成分が、ハイドロキシアパタイトという成分です。
このハイドロキシアパタイトという成分は、もともと歯を組成する成分なので、歯垢やプラークと呼ばれる汚れがくっつきやすい性質があります。つまり、殺菌だけでなく歯垢などの汚れそのものとを効果的に落とすことが出来るということになります。
さらにもう一つの性質があるのですが、歯の表面の細かい傷が修復するという「再石灰化」という働きです。この再石灰化という働きは初期虫歯の予防に有効な働きがあるということで、2014年に行われました、パリオーラルケアアワードで「フッ素配合歯みがき剤と同等の効果(再石灰化効果)でむし歯を予防」「象牙質表面に被層膜を形成して、知覚過敏を抑制」の二つの理由によって表彰されています。
現在、厚生労働省が許可している薬用成分については、ナノレベルの分子構造のもののみに対して「薬用ハイドロキシアパタイト」という表示がなされているということです。
このややこしい、「薬用」のあるなしが歯の健康に大きな違いがあることを意識して、毎日磨くための歯磨き剤を選んでいただければと思います。
Posted by toyohiko at 17:12│Comments(0)
│身体のしくみ