2016年09月02日
イソフラボンと健康

イソフラボンと言えば、大豆に含まれる成分ということで多くの方が御存知かと思います。また、女性ホルモンであるエストロゲンと構造が似ている成分ということで、健康効果など様々な視点で、注目されている成分の一つです。
そのイソフラボンですが、健康に良いと言われたり、過剰摂取によって健康に害が・・・と言われたり、その健康効果についても様々な評価があります。
特に、2006年に厚生労働省医薬食品局食品安全部は、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品の安全性評価に関する報告書で、過剰摂取に対する注意喚起を行った経緯もあります。
このことは、大豆イソフラボンの成分の一つであるダイゼインが女性ホルモンであるエストロゲンと同様の作用をすることによって、更年期障害や骨粗鬆症や乳がんの発生に関わっているということがあり、そのリスクを回避する必要があったということですが、当時、発表されたイソフラボンの摂取量と通常の日本人の食生活から予測される摂取量がすでに過剰であることなどから、様々な議論がわきあがったことも記憶に新しいことだと思います。
乳がんということを考えた場合に、欧米の女性に対して、アジアの女性の方が罹患率が低いことが分かっています。
国際医療福祉大学臨床医学研究センターの太田博明教授によりますと、乳がん細胞の中でも悪性度の高いMF-7細胞をエクオールという物質が抑制することが研究によって明らかになってきているそうで、エクオールを多く産生する女性は、血中のエストロゲンが低くプロゲステロンが高くなってきた結果、乳がんも少ないということにつながっているそうです。
先ほど、「エクオールを産生する」という表現をしましたが、乳がんなどを抑制するエクオールという物質は、乳がんに対する原因物質であるダイゼインを腸内細菌が摂取することによって代謝産生することが分かっています。
乳がんというキーワードからすれば、「腸内細菌によって、原因物質が、抑制物質に変わる・・・」ということになるのです。
その腸内細菌については、日本人の約50%が持っており欧米に比べて多いとも言われており、これが欧米に比べて、乳がんの罹患率が少ない原因なのではと考えられています。
10年以上前、過剰摂取を心配する必要があったイソフラボンですが、エクオールを産生する腸内細菌を持っていない人にとっては、リスク・・・ということに現在は変化をしてきているのかもしれません。
身体は、思った以上に複雑ということもあり、一つの成分が単純にプラスに作用するというケースばかりではない・・・ということも考える必要があると思います。
腸内細菌も含め、様々な微量成分が複雑に関わりあって身体の健康に寄与しているとすれば、あまり、健康情報をうのみにせず、特定の食品を結果的に過剰に摂取するようなことは、いずれにしても良くない・・・ということを念頭に入れて、考えることが大切なのではと思います。
さらに、食品の成分と腸内細菌とが思った以上につながりあっているということが、分かりつつある中、より良い腸内フローラために出来ることを実践していくこともますます必要になってきますね。
Posted by toyohiko at 15:40│Comments(0)
│身体のしくみ