2016年09月10日
選択の機会と選択するチカラ

米国で、トランス脂肪酸の使用禁止に引き続き抗菌石鹸の使用禁止が発表されました。今回のFDAの発表は、トリクロサンやトリクロカルバンを主成分とする石鹸の抗菌効果と安全性について、衛生用品メーカーにデータの提供を数年前から要請するなど、検討を重ねてきた結果ということのようです。
FDAの今回の決定については、「トリクロサン等の抗菌成分を使用した石鹸と通常の石鹸との有効な効果があるとはいえず、科学的根拠もない」、「トリクロサン、トロクロカルバン等の成分については、長期的に見た場合にホルモンの働きを阻害したり、耐性菌などの出現を誘引する可能性があり人体には有益というよりもむしろ有害である可能性が高い」という理由からだとされています。
このことについては、40年ほど前からトリクロサンが抗菌成分として使用されていることもあり、使用されている製品は2,000種類に上るとも言われています。
当然、国内においても影響が少ないとは言えず、FDAの発表にあたって、日本政府の官房長官がこの件について、コメントを発表したほどです。
今回のFDAの使用禁止についての、個人的な印象としてはトリクロサンの効果も害も決定的にクロというように決めつけている印象が無いような気がします。
むしろ、「対して効果もないのに、差も効果があるようにして金儲けの材料にするな・・・」とか、「大した害がない・・・、ではなく、この程度の害はありますと正直に言え・・・」、「それが出来ないのなら、禁止だ・・・!」言っているような気すらしてしまいます。
現実に、皮膚に恒常的に接触するようなものについては、経皮吸収の効果など総合的に考えて、「グレーだけど、クロという方向性を示すほうが人間の健康的な生活にとって良いだろう・・・」というような決定プロセスは重要だと思います。
当然、「40年以上も、良いと思って使い続けた自分の立場はどうなるんだ・・・!!」というような感情を持つ方もおられると思います。
今回の決定には、マーケットの規模などによる経済的な影響や、マーケットが大きいゆえの健康リスクなど悩ましい問題が内包されている問題だと思いますが、消費者にとっては、今回のような、このような情報を知る機会がなければ、「グレーという認識がなくシロであった・・・」ということがポイントなのだと思います。
世の中に流通している商品の健康効果や、健康被害などを考えたときに、科学的根拠も含め、「現時点での科学で分かっているもの・・・」というようにならざるを得ない状況というのは数多くあると思います。
つまり、科学の進歩によって「シロがクロに近づいたり・・・」「クロがシロに近づいたり・・・」するということが前提でなければならないということなのかもしれません。
さらにいえば、健康効果や健康被害に関して言えば、個体差も含め「シロに見えるグレー・・・か、クロに見えるグレー」しか存在しないと考えることも必要なのかも知れないような気がします。
その中で、「このくらいであれば、自分は大丈夫・・・」という納得感を持って、流通している商品と付き合うことが出来れば理想的なのでは・・・と考えたりもします。
とかく、「シロか、クロか・・・」の価値観を周りにも強要し、同様の価値観でないと攻撃するというような風潮も見え隠れする昨今・・・
「どのような、グレーか」を見極められる情報の開示と、その情報によって選択できる能力を培うことが出来る環境が出来てくるともっと正直に、楽に生きられるようなるかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 13:38│Comments(0)
│社会を考える