2016年11月11日
腸内フローラとストレス

ストレスと言えば、近年は社会環境の変化になどにともない日常生活の中で切っても切り離せない存在になり、職場などでも「ストレスチェック」の導入など様々なところでしっかりとした問題意識が必要なもの・・・ということになってきました。
ストレスは、過剰になると身体かだくなったり、やる気が出ないなどのうつ症状のような兆候が出たり、便秘や下痢などお腹の調子が悪くなるという方もいます。
このような状況というのは、身体の中で何らかの異常が起きており、ホルモンや神経伝達物質等のバランスが悪くなってしまったり、消化管や様々な細胞内で炎症がおこります。
この状況が慢性的になりますと炎症性腸疾患につながったり癌などの命にかかわる疾病につながるということもわかってきており、「軽減したい・・・」「解消したい・・・」ものの筆頭に挙げる方も少なくないのではと思います。
そのような中、注目される物質が、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」です。セロトニンは脳のなかに存在し、「幸せ感」や「やる気」に大きく関係しているホルモンの一つです。
SSRIと呼ばれる抗うつ薬などは、別名セロトニン再取り込み阻害薬呼ばれ、脳内のセロトニンの量を増やすことで、うつ症状を治療する薬として現在も色々なところで使われています。
また、最近では、セロトニンは腸の周りの腸管神経でも大量に産生されていることもわかってきており、そのメカニズムについて多くの方が注目しています。
さらに、そのセロトニンと腸内フローラとの関係も次第に解明されてきており、「腸内の善玉菌が少ないとうつ病リスクが高くなる」というような内容の論文が発表されたり、腸内細菌のあるマウスと腸内が無菌状態のマウスとのストレス耐性を調べたところ、無菌状態のマウスはストレス耐性が低いという結果が出たり、腸内フローラとストレスについても次第に解明されつつあるようです。
先日も記しましたが、近年、急激に増加したといわれていますクローン病や過敏性大腸炎(IBS)などの炎症性腸疾患についても、ちょっとした消化管の炎症がきっかけで口腔内最近が関与し、発症する可能性について議論されています。
また、注目を集めています「脳腸相関」の観点からいえば、炎症性腸疾患は別名「腸の知覚過敏」とも言われているために脳が大きく関与しているのでは・・・という仮説についての検証が進められています。
脳が腸の蠕動運動や内臓知覚をコントロールする働きについて、常に腸と情報交換しているといわれていいますが、この関係性が崩れて正常に保てないがゆえに、本来小さな炎症の痛みを脳が大きな痛み捉えてしまうことで、炎症性腸疾患などの慢性的な症状が治まらないのではとも言われています。
実際に、腰痛や腰痛に伴う大腿部のしびれなども脳が関与することで、「痛みをつくっている」ということも言われていますので、これらの症状に脳が大きく関与している可能性も否定できないかもしれません。
腸と脳の関係が崩れてしまうことによって引き起こされるのではと言われている症状も沢山ある中、その発症の引き金になる腸管内をはじめとする様々なところに引き起こされる炎症が、健全が腸内フローラによって炎症が起こりにくくなるのではという観点での研究が進みつつあります。
日常生活の中で、切っても切り離すことの出来ないストレス・・・
腸内環境を整えることで、少しでも耐性が強くなる・・・そのような、研究がさらに進むことをさらに期待したところです。
Posted by toyohiko at 16:45│Comments(0)
│身体のしくみ