2016年11月26日
消化と腸内フローラ

「人間の食べ残しを腸内細菌が消化している・・・」って知っていましたか?
消化というのは、大まかにいいますと体内の消化液や酵素などを利用して、吸収しやすい状態にすることです。生命活動をしっかりと維持するためには、エネルギーや機能的に働くためのビタミン類などの微量元素をしっかりと身体に取り込む必要があります。
そのためには、腸は重要な器官です。
多くの皆さんは、すでにご存じかと思いますが身体を構成するための様々な栄養素を唯一吸収できるのは、「腸」しかないからです。
しかしながら、人間が本来持っている消化機能だけでは処理することが出来ないものも、どうやらあるようで・・・、その処理に腸内細菌が関わっているのではというような研究もおこなわれているのです。
京都大学大学院農学研究科の小川順教授によりますと、サラダ油に含まれるリノール酸やオレイン酸は腸内細菌によって別の形に変換されているそうです。
また、腸内細菌は人間の残り物をものを分解しますが、それだけでなく、腸内の脂質やアミノ酸などを変換して多様化させているそうです。
こうして腸内細菌によってつくられる物質の量や種類については、想像を越えるものなのでは・・・と考えられているようです。
ビタミン等の微量元素に関しても、腸内細菌が吸収率の高い形に変えているのでは・・・?ということも言われているようで、「消化」というプロセス全体に腸内細菌が大きく関わっているようです。
食物繊維は身体に良いという話をよく耳にしますが、食物繊維の分子構造に含まれる人間では分解できない「糖」を乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌は分解することが出来るために食物繊維そのものを「食物」として、活動や増殖が出来るからだといわれています。
腸内細菌が色々な成分を分解することによって有利に腹炊いている事例で有名なのが、「コアラがユーカリに含まれる青酸性の毒が平気なのは、母親から受け継いだ腸内細菌がユーカリの毒素を中和してくれるから・・・」という事例です。
さらに腸内細菌は、「消化」という役割をしているだけでなく、腸内細菌がつくった物質によって、腸を構成している細胞の同志の結合を強めて病原体の侵入を防ぐためのバリア機能を強化したり、免疫システムに働きかけるためのシグナルになっているのではと考えられており、「消化」の過程が免疫システムにも重要な働きをしているようなのです。
これらのように、「消化」という視点で腸内フローラを考えて見ても、私たちの身体づくりにおおきな関わりがあるということが、次々と解明されつあるようですので、これからのさらなる研究に大きな期待が持てそうです。
Posted by toyohiko at 16:25│Comments(0)
│身体のしくみ