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2016年12月04日

腸内フローラと大腸ポリープ

腸内フローラと大腸ポリープ


 大腸がんというのは、近年の死亡原因の上位に挙げられている病気の一つとして知られています。とくに女性の死亡原因としてはここ数年トップになっているとさえいわれています。
 
 その大腸がんの兆候として良く知られているのが、大腸ポリープです。

 大腸ポリープというのは、大腸の内部にできるイボのようなもののことなのですが、すべてのものが大腸がんにつながるということではなく、大きくなったりすると、いわゆる悪性腫瘍といわれる「悪性化」する確率があがってしまい、「悪性化」したものが大腸がんになってしまうと言われています。 

 また、大腸ポリープは、自覚症状がほとんどなく、検診や人間ドックなどで初めて見つかるケースが多いようですが、「食事や生活習慣でも予防が出来るのでは・・・」というような研究も積極的に行われているようです。

 そのような中、大阪府立成人病センターが中心となり、小麦ふすまと乳酸菌の大腸癌予防効果を調べた長期介入試験の最終結果が発表されたという話があります。
 この長期試験は4年間にわたって398人の被験者に対して、「食事指導のみ」、「食事指導+小麦ふすまビスケット」、「食事指導+乳酸菌製剤」「食事指導+小麦ふすまビスケット+乳酸菌製剤」4つのパターンについて、2年後と4年後に大腸内視鏡検査を行い大腸腫瘍の新規発生がどの程度抑制できるかを調べたものです。
 
 その結果、小麦ふすまに含まれる食物繊維の大腸がんの予防効果については有意な結果は得られなかったのに対して、乳酸菌製剤についてはがんにつながりやすい異型のポリープの発生リスクが乳酸菌製剤を摂取しなかったグループに対して、約35%下がったという結果も出ています。

 この研究で使用された、乳酸菌製剤については乳酸菌シロタ株という菌株を1日におよそ数百億個を生菌として摂取する方法を用いたそうですが、研究グループの石川秀樹教授によりますと、「乳酸菌は、ポリープの発生を防ぐ力はあまり強くありませんが、がん化の方向に進むのを抑える働きがあるのではないか」とのべています。
 
 さらに、大腸ポリープの細胞の顔つきがどれだけ正常細胞から離れているかを示す尺度としての異型度についても、極めたがんに近い段階とされる高度とその下の段階の中度以上の異型になる割合が3分の2以下であったこととあわせて、乳酸菌製剤の摂取をやめると約2週間でそのような傾向がなくなるので、「続けることが大切・・・」とも述べているとい言うことです。

 いずれにしても、あらゆる病気にたいする予防については「これだっ・・・」というような特効薬はないというのが現実だと思います。
 その中で、「手軽に続けられる・・・」ということも含め、自分に合った方法を見つけていくことが大切だと思います。



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Posted by toyohiko at 09:58│Comments(0)身体のしくみ
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