2016年12月10日
乳酸菌と高血圧

先日、「乳酸菌を含む飲料を習慣的に飲むことで、高齢者の高血圧発症リスク低減された」という報道がなされました。
この内容は、東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チームで群馬県在住の吾妻郡在住の高齢者352名(男性125名、女性227名で5年前までに高血圧症を発症していない65歳~93歳の方)を対象に5年間の症状の発症状況を研究したというものです。
高血圧症は、国内でも4,000万人以上の患者がいるとというような報告もあり、自覚症状の無さに対して、脳卒中、虚血性心疾患など重篤な症状を引き起こす原因として知られており、高血圧の予防については健康の維持・増進にとって重要な要素として考えられているということは言うまでもない・・・という認識の方も多いのではと思います。
この研究によりますとL.カゼイ・シロタ株を含む飲料を1週間に3回以上飲んでいるグループと3回未満のグループの高血圧発症率について、3回以上飲んでいるグループの発症率が6.1%であったのに対して、3回以下のグループでは14.2%と統計学上有意な結果となったということであります。
当然、年齢や性別、飲酒、喫煙等のその他の因子についての議論があると思いますが、そのあたりも、多変量解析という手法を用いそのような要因について統計上影響のない状態にしているということなので、そのあたりも含めて乳酸菌摂取の影響によるものであるという可能性についても信頼性の高い数値であると述べています。
この研究については、「L.カゼイ・シロタ株という乳酸菌の細胞壁の成分(多糖-ペプチドグリカン複合体)が血圧の低下についての関与成分である」という研究結果についてのさらなる臨床例としての位置づけでもあるそうで、これからのさらなるメカニズムの解明が期待されるところと言えます。
今回の調査に関わった、東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健チームの青栁幸利副部長によりますと、「L.カゼイ・シロタ株を含む飲料の習慣的摂取が高齢者の高血圧発症のリスクの低下につながることが示唆されたということと同時に、今後高血圧以外の疾病の発症との関係についても検討していきたい。」と腸内フローラと健康との関係についてのさらなる期待を示しているようです。
このように、日常での食生活の習慣の中で健康に関する予防的な効果が解明されていくことは、私たちの今後の健康についてもさらなる期待が持てそうです。