2016年12月24日
感染性胃腸炎と腸内フローラ

感染性胃腸炎といわれても「あまり聞いたことの無い・・・」という印象の方も少なくないと思いますが、「胃腸風邪」とか「ノロウィルス」と言えば、「身近で、良く耳にする病気・・・」ということになる方も多いかと思います。
感染性胃腸炎というのは、細菌やウィルスなどの影響により、消化器官に炎症がおこり、おう吐や下痢、発熱をともなう感染症のことを総称して呼んでいます。
特に、子どもなどは、これらの症状が出やすく咳や鼻水等が特徴的な「上気道感染症」ではない場合などは、「胃腸風邪のの可能性がありますので、・・・」といわれて、薬を処方された記憶がある方も少なくないと思います。
その時に、処方された薬のなかで「乳酸菌製剤」と書かれたものを飲んだことはありませんでしたでしょうか・・・?
この乳酸菌製剤というのは、プロバイオティクスと呼ばれる、人間の身体にとって良いとされている種類の乳酸菌を凍結乾燥させて、再び腸の中で増殖させることによって腸内フローラを整えることにより、感染源である、細菌やウィルスを抑制し、免疫細胞を活性化することで体調をもとに戻す。というためのものと考えられています。
特に、おう吐や下痢などは、子どもや高齢者にとって基礎体力の著しい低下を招くために、重篤化しやすく、ウィルスの影響が大きい冬場などは気をつけたい感染症の一つでもあります。
そんな中、介護老人保健施設に入所している高齢者を対象にノロウィルスによる感染性胃腸炎に対するプロバイオティクス(身体にとって良い働きをする乳酸菌)摂取の効果についての研究結果がありますので紹介します。
この研究は、施設に入所している77名を39名と38名のグループに分け、乳酸菌シロタ株が1本当たり400億個以上含まれている飲料を毎日1本、10月から3ヶ月にわたって飲用したグループと、そうでないグループの12月1ヶ月の感染性胃腸炎の罹患状況等を調査したものです。
この研究では、罹患率、おう吐や下痢の日数については統計学的な差は認められなかったというものの、37℃以上の発熱日数が非飲用群が2.9±2.3日であったのに対して、乳酸菌シロタ株飲用群は1.5±1.7日と発熱日数の短縮が認められたという結果が報告されています。
このことは、プロバイオティクスによる腸内フローラの改善効果や、その改善効果による低下した免疫細胞(NK細胞など)の活性増強効果と大きく関わりがあることが改めて示唆されたと同時に、乳酸菌の継続摂取による健康効果の可能性に対する更なる期待を感じるものでもあるような気がします。
Posted by toyohiko at 14:39│Comments(0)
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