2017年02月18日
お母さんの「お腹」と「デブ菌」「痩せ菌」の関係

近年、腸内細菌の種類で「太り易い」とか「痩せやすい」というような話を耳にすることがありますが、このことも腸内フローラの研究が進むにつれて解明しつつあることの一つと考えられています。
このことは、人の腸内フローラの状態を把握できるような仕組みが出来つつある中で、肥満傾向ややせ形と言われるような体系的特徴と本人のお腹のなかの腸内細菌の種類などが特徴的に似ているということもわかってきました。
ファーミキューティス門と言われるグループに属する腸内細菌は、食べたものを食物を分解して、栄養やエネルギー変換する働きを持っているために「肥満原因菌」と考えられています。
その一方で、バクテロイディス門といわれるグループの腸内細菌は、反対にやせ形の人が多く保菌しており、脂質の合成を抑制する役割をしているとされ「痩せ菌」と考えられています。
徳島大学医学部上番増喬助教授によりますと、妊娠期の母親の栄養状態が子どもの健康への影響について「母親が低栄養状態であると子どもが肥満になり易い」としながらも、その要因については不明な点が多いと述べています。
そんな中、腸内フローラが宿主の代謝に影響を及ぼしていることに注目し、腸内フローラの一番の攪乱要因である、抗生物質などの抗菌薬の服用と子どもの腸内フローラへの影響についての研究事例を紹介させていただきます。
前出の上番増喬助教授らのマウスを用いた実験では、妊娠期の母親マウスに抗菌薬を投与することによって、その子どものマウスの腸内フローラの変化について調べました。
その結果、「抗菌薬を投与した母親から生まれたマウスでは、先ほど紹介した「肥満原因菌」の一つである、ファーミキューティス門のクロストリジウム属の菌が有意に増加し、体脂肪率が有意に高い値を示した。」という結果になったということです。
マウスの場合も人間と同じで、出産直後の無菌状態から数日経過して腸内フローラの形成が始まることが分かっています。
子どもの腸内フローラの形成には食事を始め、様々な因子がありますが、母乳や産道細菌と呼ばれる臨月の時に優勢になる膣内菌叢の影響を大きく受けると考えられています。
今回の研究では、母親のマウスの腸内フローラの変化について、有意な相関がみられなかったことも含め経皮及び経膣的な細菌の移行初期の腸内フローラの形成により大きな影響を及ばしているとともに、出産直前の膣内菌叢に対して、母親の腸内フローラの攪乱が少なからず影響を及ばしているということが明らかになりつつあるということを示していると思います。
よく、「妊娠期のお母さんは、薬を飲まないように・・・」とか「妊娠中のアルコールや煙草は控えるように・・・」というようなことが言われてきましたが、これらの行為が自身の腸内フローラの攪乱を招くとともに、子どもの腸内フローラ形成に大きな関わりがある事が色々な角度から証明されつつあるのかもしれません。
単なる、健康というだけでなく「肥満型」とか「痩せ形」というような体型に至るまで母親の腸内フローラが関わっているとしたら、「お母さんのお腹の善玉菌は、赤ちゃんの一番のプレゼント・・・」なのかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 13:59│Comments(0)
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