2017年04月14日
「生きてる乳酸菌」と「死んでる乳酸菌」との違い

最近、乳酸菌を利用した食品があらゆる分野で増えてきたような気がします。このことは、腸内フローラも含めたお腹を中心とした健康やそれに派生する、より大きな健康効果に関心が高まってきたことの表れでもあると思います。
その中で、「生きたまま腸まで届く・・・」とか、「乳酸菌は死んでいても大丈夫・・・」、さらには、「腸内で増える・・・」など色々なキャッチフレーズがそれぞれに発信されているために、選ぶ方の立場からすると「何を、どう選んだらいいかが分かりにくい・・・」というようなことが出てきています。
今回は、「生きている乳酸菌」「死んでいる乳酸菌」の違いについて考えてみたいと思います。
「乳酸菌の働き」といっても様々な働きがあって、その健康効果に関するメカニズム違います。例えば、よく商品のパッケージで見かけるような「良い菌を増やし、悪い菌を減らす」という効果については、乳酸菌そのものが、増殖するする時などに産生する「酸(菌の種類によって乳酸、酢酸、酪酸など様々なものがあります。)」が作用して、腸内腐敗に関係している人体にとって有害な腐敗物質をだす菌の活動を抑えるというメカニズムになっています。
このことは、鯖などの劣化の早い食品を酢で〆たり、夏場のお弁当には必ず梅干を入れるようにするのと同じ原理です。
このような作用によって、「腸内腐敗」が抑えられたり、この「酸」の腸管への刺激によって蠕動運動が刺激されることで、「便秘」や「下痢」の改善にもつながります。
つまり、腸内で生きた乳酸菌が活動し、「酸」を出すことによって健康効果につながる作用もあります。
その一方で、「免疫調整作用」や「発がん性物質などの腐敗物質を体外に出す」効果については、菌そのものの形状や、菌の周りについている繊毛などが作用することで、免疫システムに働きかけたり、腐敗物質を吸着し、死んだ菌を排出するという腸管が本来持っている機能と相まって身体の外に出すということになりますので、このような効果については、「死んでいても、健康効果については変わらない・・・」という事が言えると思います。
特に、免疫調整機能に関しては、不活化ワクチンと同じようなものと考えていただけると、理解がしやすいかもしれません。
いままでの、話をまとめますと、「死んでいても、効果があるところもありますが、生きていないとだめな効果もあります。」ということになります。
今のところ、「死んでいないと効果がない」というような研究結果は無いようなので、「死んでいる乳酸菌よりも、生きている方が良い」ということになりそうです。
あと肝心なのは、身体に作用するときの「量」の話だと思います。近年の研究によりますと、腸内フローラを構成する腸内細菌の菌数は100兆個とも言われています。そのものすごい菌数の「腸内フローラに作用するには、それなりの菌の数が必要・・・」ということです。
当然のことながら、死んだものは増えることはありません。現在食品に利用されている多くの、乳酸菌は体内で増殖しやすい、「人腸乳酸菌」を使ったものが多いので、「お腹中で、生きて増える・・・」ということも健康効果につては、大切な要素になります。
これらのことから、「乳酸菌が死んでいても健康効果はありますが限定的である。」「死んでいると、それ以上増殖しないので、数としての効果も限られてしまう。」ということになりますので、「生きて腸まで届いて、なおかつ菌の数が沢山入っているもの」の方が、より高い健康効果が得られやすいということになりそうですね。