2017年05月19日
ワークライフバランスへの3つのアプローチ

昨今の、「働き方改革」という流れのなか、「早く帰れ・・・」と言われても、具体的にどのようにしたらよいのかという課題に直面しているケースも少なくないと思います。
長時間労働や生活基盤が家族とセパレートされているために、日常生活が不規則になりがちである・・・など。健康な日常生活を快適に送るためにも具体的な課題解決は必要不可欠な問題なのだと思います。更に、人口減や働き手不足など複合的な要因によって、職場も単に「利益が出ている」ということだけが健全経営とはいえない状況になりつつあるのかもしれません。
ここで、具体的な課題解決のアプローチを考える上で「有給休暇の取り方」というものに焦点を当てて考えてみましょう。
「有給休暇」と言えば、職場の環境によっては異なると思いますが、「取れるはずの無いもの・・・」、「上司に切り出せない・・・」「会社の事情で、ノルマ的に急にとらされる・・・」など、様々だと思います。
自分のために「有給休暇」を有効に利用できるために、どのような事が必要かを考えてみましょう。
まず第1に「スケジュールがしっかりしている」ということです。特に、会議が多く、そのための打ち合わせなどが不定期且つ頻繁にある場合などは、「急に言われたときに、いないとまずい・・・」という心理が働くために、「休みを取る」ということ自身に精神的に高いハードルが課せられているという状況になってしまいます。
第2には、チームワークと役割分担の明確化です。
良く聞く休みが取れない理由で多いのは、「私がいないと・・・」とか、「休むと、周りに迷惑がかかる・・・」というフレーズですが、このことは、「自分自身しか、解らない仕事・・・」がたくさん存在することや、お互いの「頼るチカラ」が弱いために、「他に迷惑をかけない・・・」という価値観が蔓延してしまうために、他者に対する不寛容性が高い状態になり易くなっているということです。
このような状況を、東京大学総合教育研究センターの中原淳准教授は、著書「育児は仕事の役に立つ」の中で「ひとりでできるもん病」と名付けていますが、この「ひとりでできるもん病」は、職場だけでなく、普段の生活・・・特に子育ての場面に見受けられる状況だとしています。
「子育て」という、「不測の事態に対応する仕事」は、実は、「マネジメント」や「リーダーシップ」にも通じる事が多く、第1番目のスケジューリングの能力にもつながる部分も多いと思いますので、「子育て」の経験こそ、チームワークづくりに役立てることが大切です。
とりわけ、「一人でやる仕事」は、気づきが少なくなりがちで、「生産性」の面でも非効率になってしまう可能性も高まってしまいます。「ひとりでできるもん病」は、「頼るチカラ」という処方箋を使って早く治す方が良いのかもしれません。
最後の3つ目は、「楽しむべく、プライベートライフがあるか・・・」ということです。
よく、「休んでも、やることないから・・・」と言う方がいますが、「休む動機がなければ、休むことにはならない」ということになってしまいます。しかし、この言葉は「私は、組織に貢献している・・・」象徴として、今までは、ポジティブな捉えられ方をしてきたために、意外と簡単に口に出来てしまった事が、ある種問題であったような気がします。
しかし、実際には平均寿命も長くなり、リタイアメントしてからの生活を具体的にイメージしないと、組織の中にいたころと一転して、「居場所の無い生活・・・」になってしまうケースも良く耳にします。
日本の場合は、小中学校と義務教育の制度がしっかりしているので、クラスの中に多種多様な考え方や、生活をしている仲間と一緒に勉強をしますが、その後については、男性を中心に、固定化された人間関係の中で生活をする方が多くなることで、「社会においての多様性」が失われてしまう傾向が少なからずあります。
「地域は、ダイバーシティという言葉の無いダイバーシティ空間」そのものなので、それぞれの価値観がうまく噛み合わすことが苦手な方にとっては、居心地の悪い場所になってしまうこともしばしばあるようです。
このように考えれば、今後の事も踏まえて「休みたい理由」がある事は、自身の人生にとっても、仕事に対する「張り合い」にとっても、良いこと・・・と考える事は出来ると思います。
このように、「有給休暇」を取るために・・という切り口で考えても、本人にとっても、会社などの組織にとっても、「決して悪いことでなない」というような考え方にもなるのではないでしょうか・・・?
Posted by toyohiko at 15:24│Comments(0)
│社会を考える