2017年07月08日
子どもの薬と腸内フローラ

食中毒を中心とした、細菌性の感染症にかかってしまった場合にはひどい下痢や嘔吐、さらには発熱を繰り返すケースは少なくありません。
特に子どもさんの場合などは、体力的にも未成熟のためにこうした症状が続いてしまうことは身体的なダメージにつながるため、感染の原因菌を抑えるための抗菌薬治療を速やかに行うことも必要となってきます。
腸内フローラがしっかり出来上がった状態である大人の場合は、一度抗菌薬治療を行ってももとの腸内フローラの状態に免疫システムが復元しようとするために、感染症のダメージとは他に抗菌治療によるダメージが比較的少ない人が多いのかと思います。
しかしながら、抗生物質の影響で「便秘や下痢の症状が・・・」と言うかたも一方で、耳にすることがあるのも事実です。
この便秘や下痢の症状は、感染症の時の症状とは基本的なメカニズムが異なるということを知っていただくことが大切だと思います。
感染症の時の下痢は、腸管の免疫システムが感染源である細菌そのものやその代謝産物である毒素などをいち早く身体の外に出す必要があると判断したために腸管内にあるものを便として排出したり、胃の内容物を口から出す生体防御機能の一つです。
特に、下痢などは体内の水分を腸管内に入れることで腸管内の洗浄もしているのではとも考えれれているそうで、下痢の時の脱水症状には気をつける必要があるともいわれています。
その一方で、抗生物質などでの症状は下痢だけではなく、便秘になる方もあるのが特徴で、これは抗生物質によって腸内の感染症原因菌が死滅するだけではなく、いわゆる善玉菌も死んでしまうために腸内フローラのバランスが崩れてしまうからだと考えられています。
そのために、その人固有の優勢だった菌のバランスが崩れてしまい、腸管内の炎症など様々な症状が出てしまうからなのです。ここで難しいのは腸内フローラの構成は人によってそれぞれ異なるために、症状も対処方法も異なるということなのです。
特に、乳幼児と言われる腸内フローラが整っていない月齢の場合においては「小児難治性下痢症」といい下痢が2~3週間続いてしまい慢性化するケースもあるそうです。この「小児難治性下痢症」の原因と考えられているのが感染症罹患時の抗菌薬とも言われています。
このように、腸内フローラのバランスの崩れによって出来てしまった症状を緩和するために有効とされているのが症状にあった善玉菌を取り入れるプロバイオティクス療法です。
重度の小児難治性下痢症を起こしてしまい、1日10回以上の下痢症を起こしていた生後3ヶ月の男児に対して、B.ブレーべ・ヤクルト株と言われるビフィズス菌を利用した生菌製剤を1日3回摂取することで、有害菌である緑膿菌が減少し下痢症状の改善がみられたというような事例もあるそうです。
特に子どもやお年寄のように腸内フローラのバランスが安定しにくかったり、崩れやすくなっている方だかにとっては、良い菌を積極的に取り入れるプロバイオティクス療法も有効と言うことになると思います。
もちろん、予防もふくめ普段から腸内環境を整えるために良い菌を積極的に摂ることも大切だと思います。
Posted by toyohiko at 12:18│Comments(0)
│身体のしくみ