2017年07月14日
乳酸菌の安全性について考える

食の安全・安心という言葉が一般的に言われるようになってずいぶん経ちますが、「安全」ということを何を持って安全とするかということについては、それぞれの理解が違っていたり、現在の科学においてもはっきりとはいえないというようなグレーゾーンが明確に取り除くことが出来ないなど、様々なことがあります。
普段、「安全」と言えば、「危険でない」というように理解される方が多いと思いますが、この「危険」という言葉自身に主観が入ってしまうことも多いような気がします。
食品で言うならば、「この食品を口に入れて、病気や怪我につながらない・・・」という理解が良いのかと思いますが、例えば、「食中毒の原因菌を取り除くために薬品で処理をする。」という場合に、当然、殺菌処理に利用する薬品の濃度は健康被害につながらないように厳格に基準がありますが、この基準も各国で違っていたりすることで食中毒原因菌のリスクよりも、薬品のリスクの方をネガティブに感じてしまう方もおられると思います。
そこには、それぞれの価値観が異なることによって出てきてしまう「あいまいさ」というものが存在しがちになってしまうことが往々ににしてあります。
さらに、「昔からの慣習として、やっているから大丈夫・・・」というようなものまで、実は、「・・・という理由で安全」という納得感を求めている方も数多くいるのではないのでしょうか。
そこで今回は、乳酸菌の安全性について考えてみたいと思います。
乳酸菌が、生菌として食品という形で本格的に販売されるようになってから100年余りになると思いますが、当時は「乳酸菌」という「菌」のところ敏感に反応されて、「バイ菌」というイメージを払しょくするのに大変だったという話を耳にしたことがあります。
腸内フローラと言う言葉が一般的になりつつある現在では考えもつかない状態であったようです。
その「バイ菌」というイメージに対して、科学的にしっかりと説明のつく安全性とものが必要であったという背景がありますが、数多く流通している乳酸菌の種類の一つである「乳酸菌シロタ株」の安全性の定義を紹介しますと、次の6つの項目に該当するということになるそうです。
1、大量に長期間摂取しても無毒である
2、変異原性(発がんなどに結び付く可能性のある性質)が無い
3、人に有害な影響を与えるような遺伝子を持たない
4、抵抗力が落ちた人が摂取しても、日和見感染性(宿主の免疫などの感染防御機能が落ちた時に感染症の発症につながる)を示さず安全に利用できる
5、アレルギー疾患や自己免疫疾患を持つ人に対しても疾患を憎悪させることがなく、安全に利用できる
6、一部の抗菌薬に対する耐性を持つが、他の有害微生物にこの抗菌薬の耐性を伝達することがない
この安全基準などが評価されて、2012年には米国FDAでGRAS(Generally Recognized As Safe)という、食品に関する独自の認証制度で、GRAS物質として認証されたということがあります。
これは、乳酸菌と呼ばれるすべての微細物に関しての認証で無く、乳酸菌シロタ株という限られた菌株についてのことではありますが、乳酸菌そのものの安全と言われる基準の一つにもなるのかもしれません。
ただ、乳酸菌と呼ばれるものの中にも様々な特性を持った菌株がいますので、そこはしっかりとした認識が必要かもしれません。
「乳酸菌」=バイ菌・・・というネガティブなイメージだった時代があったからこそ、これだけ高い科学的裏付けのある安全性というものが、現在あるのかもしれません。
Posted by toyohiko at 13:14│Comments(0)
│食べ物を選ぶ