2017年08月19日
ハチミツと乳幼児の腸内フローラ

「1歳未満の子どもには、ハチミツを食べさせてはいけない・・・」ということは、多くの人がご存じかと思います。しかし、その理由について子どもの腸内フローラが大きく関係しているということはご存じだったでしょうか。
生まれてすぐの赤ちゃんの腸内は無菌状態で、母親からもらった腸内細菌や環境中の様々な菌を腸内に取り入れることで、その人独自の腸内フローラを形成していきます。
赤ちゃんが、「なんでも口に入れてしまう・・・」という行為も、多様な腸内フローラを形成していくために、環境中の様々な微生物を取り入れるための行動であると考えられています。
コアラが青酸性の毒をもったユーカリの葉っぱを食べられるようになるために、母親が子どもに自分のウンチを食べさせるという話は、良く知られている話です。
この腸内フローラが、どのくらいの時間をかけて形成されていくのかは個人差も含めて、まだまだ未解明のところもあるようなのですが、この「腸内フローラの形成」とハチミツが大きく関係しているのです。
乳児ボツリヌス症という言葉をご存じでしょうか、この症状はハチミツの中にいるとされる、ボツリヌス菌の芽胞(がほう)と呼ばれる、菌の種というか卵の様なものが発育し、増殖をすることによって、いわゆる感性性の食中毒のような症状になってしまうことで発症してしまいます。
乳児ボツリヌス症の症状としては、5日以上続く便秘を始め、母乳やミルクを飲む力が弱くなったり、泣き声が小さくなる、顔が無表情になったり、身体をだるそうにしだらっとした姿勢が多くなるなどの事があるようです。
厚生労働省でも、「1歳未満の子どもには、ハチミツを与えないでください」といういことを促している理由がここにあるということなのです。
「だったら、1歳を超えれば何で良くなるの・・・?」ということが、皆さんが知りたいところだと思いますが、これが、先ほどからご説明しています腸内フローラの形成なのです、身体の免疫システムの60~70%は腸の周りにあるということは良く知られてきたと思いますが、この免疫システムの根幹を支えるのが腸内フローラなのです。
つまり、「腸内フローラがしっかり出来上がっていない状態では、ハチミツの中に含まれているかもしれない、ボツリヌス菌の芽胞を抑えることが出来ないから・・・」というのが、乳児ボツリヌス症が発症してしまう理由ということなのです。
この1歳と1歳になれば、腸内フローラがしっかりと形成されているのか・・・という点においては、まだまだ未解明のところも多いとされていますが、「赤ちゃんが、成長につれて食べられるものが増えてくる・・・」ということと、腸内フローラの形成は密接に関係している事は言えると思います。
乳幼児期の腸内フローラの形成が、その後の食生活を含めた健康に大きな影響を及ぼす・・・ということであれば、早い時期から良い菌を適切な形で取り入れることも大切なのかもしれませんね。