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2017年10月06日

「次世代の甘味料求む」の意味するもの

「次世代の甘味料求む」の意味するもの


 先日、世界の最も大きい飲料メーカーの一つであるコカ・コーラが、世界中に対して「次代の甘味料を探し出してくれたら100万ドルを差し上げます・・・」という報道がありした。

 この甘味料の条件としては、「天然で安全、低カロリー、飲料や食品に使うと砂糖の様な味覚が得られるもの・・・」としているようですが、このニュースを聞いて、19世紀のフランスでナポレオン3世が、「バターの代用品の発明にたいして賞金を出す。」と言った話を思い出しました。

 この時の条件は、「その製品は、製品製造にあまり費用がかからず、保存しても嫌な味になったり臭いがきつくなったりしないものでなければならない。」というものだったようです。

 その条件を満たし、見事賞金を獲得したのがメージュ・ムーリエ・イポリットという化学者です。その製法は、牛脂を脱脂粉乳と混ぜ少量の乳房からの抽出物を加えて攪拌するというものだったそうです。その油の弱い光沢がマルゲリットと呼ばれる小さな真珠に似ていたことからマーガリンと名付けたのが今の「マーガリン」の始まりです。

 この「マーガリン」も、はじめは、「健康的な植物油脂」というフレーズのもと、一時は、「バターは健康に悪い」というような話が出るほど、多くの人たちに愛された食品の一つでありましたが、トランス脂肪酸の身体に対する悪影響が、注目されるようになったり、「動物性脂肪よりも植物性脂肪の方が健康に良い」と言われてきたことの科学的根拠が、実はあまりなかったのでは・・・というような様々な理由で、「マーガリンは、食べないようにしている・・・」という考え方の人たちが増えてきているのも事実です。

 「次代の夢の甘味料」を求めるようになった社会的背景は、マーガリンが出てきたときとは少々異なるようですが、世界的にも砂糖を中心とした糖質の過剰摂取による健康への影響があまりにも大きく、社会問題として放置しておくことが出来ないというのが今回の理由の根源にあるようです。

 現に、報道などによりますと、WHO(世界保健機関)が各国に対して、砂糖の過剰摂取の予防的措置等のために、砂糖をはじめとする糖類を多く含んでいる、嗜好飲料などに課税などの制度を推奨し、現実的な健康対策に努めるような方向性までなされつつあるというような話もあるようです。

 甘味料でいえば、アスパルテームやステビアなど、開発当時は、「低カロリーで、砂糖の数10倍、数100倍の甘さ・・・」というような様々なものが、使用されてきましたが、健康へのマイナスの影響への懸念によって、各国の法律で、規制が行われたりニーズが無くなり使われなくなったものも沢山あります。

 「天然で安全、低カロリー、飲料や食品に使うと砂糖の様な味覚が得られるもの・・・」というような、夢の様な甘味料が本当に出てくるのであれば、個人的には100万ドルは安すぎるような気がしないでもないですが、一つだけ云えるのは、「人間は、甘さという欲求と常に戦っており、中々その欲求に勝つことが出来ない。」ということが、自社の開発のみならず多くのアイディアに頼らざるを得ない状況から感じとれるということです。

 一つ目の条件である「天然で安全・・・」天然を何処まで「天然」とするかはさておき、このような企業が、現在利用されている甘味料を差し置いて、このような要望を改めて出してくる事は、私たちは化学合成によって作られた甘味料に対する安全性や味覚についても、現在流通しているものでは、今回の公募した甘味料の条件が「まだまだ充分ではない・・・」ということを意味しているということにもとれます。

 ただ、一つだけ云えるのは、「砂糖は絶対だめ・・・」なのではなく、過剰摂取に対しての警鐘であるということです。

 「甘味」を求めることと「脳の報酬系」との関連や日常のストレスなど、「甘味」に頼らないとならない生活習慣を考え直す良い機会と捉えることも大切ですね。




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