2018年07月06日
おなかの中の「日和見菌」って聞いたことありますか・・・?

「日和見的・・・」という言葉がありますが、この言葉にはあまり良いイメージを持っている方も多いと思います。その理由として、自分の意思がなく流されているようなイメージが強いからだと思います。
実際に、「周りの意見や雰囲気に合わせることでうまくやっていこう・・・」という人が多いのも事実です。
実は、腸内細菌に於いても同じような、考え方をする「菌のグループ」がいるということはご存知でしょうか・・・?
代表的な、菌の種類としてはクロストリジウム属とか、バクテロイディス属と言われるグループの菌がそれにあたり、多い人で腸内細菌のなかで占める割合が半分以上になっています。
良く耳にするのは、「善玉菌」とか、「悪玉菌」という名前ですが、その名前の通り、宿主にとって、「良い働きをする・・・」とか「悪い働きをする・・・」というのが、比較的明確になっていて、「ある時は、良い働きをするけど・・・、そうでない時もある・・・」というようなことはまず無いと考えられている菌のグループです。
それに対して、「善玉菌」や「悪玉菌」と違い、「ある時は、宿主に対して良いことをするけれど、悪いことをすることもある・・・」という存在のグループが「日和見菌」と言われているのです。
先ほども云いましたように、この「日和見菌」のグループは、全体の5割以上もあるといわれており、多い人では7割にもなるということが分かってきています。
この「日和見菌」のグループが、何故、周りの影響を受けるかについては、まだまだこれから詳しいことが分かってくるということになると思いますが、現在、考えられているのが「菌同士が会話の様なものをしているのでは・・・」ということです。
この会話は、「菌のクロストーク」呼ばれ、菌から産生される、色々な代謝物やその代謝物の影響によって白血球などの免疫システムから分泌されるインターロイキンなどの物質を通じてコミュニケーションを取っていると考えられています。
特に興味があるのは、「どうやら個の様々な物質を介してのコミュニケーションについて、特定のグループの共通言語の様なものがありそうだ・・・」ということです。
つまり、人間でいえば、日本語や英語やポルトガル語・・・の様なものがあり、共通言語でしかコミュニケーションを取らないものもあれば、バイリンガルな人もいるというイメージのようです。
腸内フローラの研究が進む中、人間の健康にとって最も重要とされているのが、腸内フローラの多様性です。多くの疾病等のケースに於いて、腸内フローラ内の菌の種類の少なさが指摘されていることからもそのことは言えると思います。
菌のクロストークの観点からいえば、種類が多ければ多いほど、腸内細菌同志が共通言語でつながる可能性が高まるということになるのかもしれません。
それらの事から考えると、「腸内の善玉菌を増やす・・・」というよりも、「多くの日和見菌を善玉菌の味方につける・・・」という方が、腸の健康には大切なことなのかもしれません。
そのためには、優等生である「善玉菌」の応援団である、「元気な善玉菌グループの転校生」を毎日欠かさず、食生活の中で取り入れていくことの大切さがますます高まってくるのかもしれませんね。
Posted by toyohiko at 11:18│Comments(0)
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