2020年02月08日
食品表示と食物繊維

食事を摂る際に、「野菜をしっかり食べなさい…」ということを言われた経験のある方は多いかと思います。しかし、「野菜=健康」というイメージが先行し、何故、野菜を沢山食べる必要があるかを理解して積極的に食事に取り入れている方は、まだまだ少ないのかもしれません。
そういった中、近年では、「おなかの健康が身体多くの健康に関わっている」という、腸内フローラのメカニズムの解明が進んで来たことによって、プレバイオティクス(消化器官などの共生微生物のエサ)として食物繊維が注目されるようになり、「腸活」とか「育菌」という言葉も聞かれるようになりました。
つまり、以前に比べて食物繊維を自身の健康のために目的を持って食事に取り入れる人が増えて来たということになります。
しかしながら、私達が手に入れる食品の多くは食品流通の結果、手元に届くと同時になんらかの加工が施されているものがほとんどです。ですから、私達は食品表示を頼りにしてあらゆる食物を取捨選択するという方法をとるということになります。
そこで、食物繊維に関わる食品表示について少し触れたいと思います。一般財団法人食品分析開発センターによりますと、「食品表示基準において、栄養成分表示をする場合に、炭水化物は必ず表示しなければならない項目の1つであるが、糖質及び糖類は任意表示項目であり、食物繊維は推奨表示項目である」としていますので、必ずしも表示しなくても良い栄養成分ということになります。
だったら、「表示されている栄養成分の中の何処に含まれていくるのか」ということが気になるところですが、それは炭水化物になります。
食品表示基準では、炭水化物は、当該食品の質量からタンパク質、脂質、灰分及び水分を除いたものとされていますので、単純に考えても引き算の結果なのだから色々なものが含まれているということになります。
そこに、含まれている色々なもののひとつが食物繊維ということになります。
この食物繊維の算出方法も、知っていただいた方ごが良いと思いますが、炭水化物から糖質を差し引いたものとなりますので、
食物繊維=食品の栄養成分-(タンパク質+脂質+灰分+糖質)-水分
ということになります。こうして引き算の残りという感覚は何とも言えない解りにくさが残ってしまいますが、食物繊維と糖質は身体に良いといわれているものと摂りすぎに注意といわれている一見相対する関係のように思えるのですが、同じ分類に入るという事なのです。
先ほども言いましたように、食物繊維は炭水化物から糖質を引いたものとなりこの両者は非常に関係の深い栄養成分だといわれ、糖質を表示する場合には食物繊維とともに表示しなければならないという事にもなっているそうです。
食物繊維は、エネルギー評価の考え方などの記述でも、大腸内の発酵を前提に栄養摂取カロリーなどのエネルギー評価をしており(日本食品分析センター:食物繊維のエネルギー評価 図-1)腸内細菌から代謝される短鎖脂肪酸も吸収されるものとしての説明もあります。
つまり、糖質に近いような存在であっても未消化のまま大腸に届くか、小腸で消化吸収されるかで同じ炭水化物の仲間であっても、人間の身体に吸収される時点で全く違うものになっているということと、そのメカニズムを担うのが腸内細菌の中の善玉菌と善玉菌が優勢になった時の日和見菌という事になります。
そのようなこともあり、食物繊維は「整腸作用や生活習慣病の予防にも効果が期待されており、食品表示基準の義務表示項目ではないが、積極的に表示を推進するように努めなければならない推奨表示項目の栄養成分である」とされていますが、平成29年 国民健康・栄養調査(厚生労働省)では、20歳以上の食物繊維摂取量は、男性で15.2 g、女性で14.8 gであり、目標量に対し男性では約5 g、女性では約3 g不足している栄養成分とされています。
このような、ことから考えると、低炭水化物は健康に悪影響を及ぼす可能性がありますが、低糖質であれば大丈夫という事にもなるのかもしれません。
世の中の、主食といわれるもののほとんどは、糖質とともに多くの食物繊維を含んでいる食品が多いとされています。
低糖質を目指すのであれば、ついつい使ってしまうドレッシングや簡単調味料に含まれている多くの糖類に注意したり、加工食品の割合を考えなす方が効果的なのかもしれません。
Posted by toyohiko at 09:37│Comments(0)
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