2020年05月07日
理想的な腸内環境をつくるには日和見菌を味方につけることが大切です(Ⅳ)

今まで、善玉菌を優勢にし、日和見菌を味方につけることが腸内環境にとって様々なメリットがあることは述べてきましたが、お腹の中の状態が、腸管神経を通じて脳から影響を受けたり、脳に影響を与えることや、身体全体の6~7割あるといわれている免疫システムと大きな関りがあるだけではなく、腸内細菌そのものが作り出す栄養素などとのの関りについて考えていきたいと思います。
必須栄養素という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、これは「食品などから摂取しないと健康維持のために支障がでてくる栄養成分」のことを指します。
言いかえると「食品などから摂取しなくても大丈夫な栄養素がある」という事になるのです。
例えば、「野菜嫌いなのに、あまり病気をしている様子がない・・・」という人もいると思いますが、必要な栄養素を思わぬ方法で調達している可能性があると考えた方が良いのかもしれません。
その調達方法というのが、「お腹の中で、腸内細菌に作ってもらう・・・」という方法です。これは、人によってすべて腸内細菌の種類や構成が異なっているのと同じように、動物種によってはずいぶん違っているようです。
例えば、犬はビタミンCを摂らなくても大丈夫というような話も、犬特有の腸内細菌叢によって、お腹の中で作ってくれるためだといわれています。
この例のように、ビタミン類などの微量元素や酵素なども腸内細菌が腸の中で作ってくれていると考えられています。
人間で言えば、ビタミンB群が足らなくなった時の典型的な症状のひとつが口内炎です。このビタミンB群はストレスによって低下すると言われていますが、「何故、ストレスによって低下する・・・のか」を考える必要があります。
前回にも、ご説明しましたように、ストレスは腸内環境の乱れに一番の悪影響を及ぼすということからしても、本来必要な量を作ってくれたビタミンB群を、善玉菌や日和見菌が作ってくれなくなることで口内炎という症状になってしまったと考えることができます。
ビタミンB6が不足すると、セロトニンやドーパミン、GABAといった精神安定に必要な脳内物質が不足しがちになり、不安感が強くなってしまうということもあるようで、ビタミンB6は脂質の代謝促進や月経前症候群(PMS)の緩和などの効果についても言われているビタミンとしても知られていますので腸内環境を整えることは非常に重要です。
また、「ストレス解消で、お酒を・・・」という方も多いと思いますが、適量のアルコールは、ストレスの解消につながるかもしれませんし、免疫力も上がるとされていますが、「飲みすぎ・・・」については、良いことはありません。
アルコールは通常、胃と小腸で吸収されますが、吸収の手助けをする「酵素」の働きを妨げるといわれています。その結果、水分や栄養分の吸収ができず、あまり消化できていない食べ物が大量に大腸に流れ込んでしまい、腸に負担がかかるために腸そのものも腸内細菌たちも本来の働きをすることが出来なくなります。
さらに、アルコールは大腸の動きを活発にするため通常であれば、大腸で吸収される水分が吸収されずに下痢の状態になってしまうのがアルコール性軟便と呼ばれるものです。
この症状も、腸にとってはブレーキとアクセルを意に反して無茶苦茶に踏まれてしまうようなものになりますので腸内環境にとって乱された状態になり非常に良くないことになります。
腸内細菌は、単におなかの調子を整えると考えがちですが、その「整える」という恒常性機能のなかに必要な栄養素を宿主に提供するという大切且つ複雑な働きをしていますので、その働きをしっかりとしていくためにも日和見菌を善玉菌の味方にしてくことが大切なのです。
Posted by toyohiko at 14:46│Comments(0)
│身体のしくみ