2020年06月26日
オリゴ糖と血糖値

厚生労働省が発表した2014年患者調査の概況の中で、「糖尿病患者数は、前回調査(2011年)から46万6,000人増えて、過去最多の316万6,000人になった。」という報告がありました。この46万人の増加は、高血圧性疾患の104万1,000人に次ぐ二番目の数字になりました。
食の欧米化といわれて久しいですが、「糖」といわれるものが、珍しいもの・・・ではなく、意識して摂らないようにしないと、知らず知らずのうちに摂取してしまう栄養素の一つになってきました。
コンビニのデザートのように、意識出来るような食品もあれば、かんたん調味料やドレッシングのように「美味しくて簡単に・・・」ということで手軽に使ってしまいますが、様々な糖類を使っているものも少なくありません。その結果から考えても、日頃の習慣の中で「糖の摂取」については意識していく必要のある生活習慣の一つなのかもしれません。
そこで、注目したいのが難消化性の糖である「オリゴ糖」です。
このオリゴ糖という名前は、腸内フローラという言葉が聞かれるようになったことと併せて、人間(宿主)にとって良い働きをする腸内細菌であるプロバイオティクスのエサとしても注目されている栄養素の一つです。
このオリゴ糖は、「糖」という名前がついていますが、胃や小腸で消化されないため、糖質として吸収されることがないといわれています。
つまり、糖として吸収されないという事は血糖値、血中インスリンへの影響が少ないという事が考えられるという事も理解できると思います。
実際に、オリゴ糖のひとつであるフラクトオリゴ糖を摂取しても、血糖値や血中インスリンへの影響がないという報告もあるということなので、血糖値を上げないため、血糖コントロールや糖尿病に悩む方の大きな味方となる可能性が示唆されます。
さらに、脂肪を増やすインスリンを分泌させないことから考えると、太りにくい「糖」ということも言えるのかもしれません。
ひとくくりに「オリゴ糖」と言いましても大まかに「難消化性オリゴ糖」と一部は糖として消化される性質のある「一部消化性オリゴ糖」がありますので、オリゴ糖といわれるものがすべて「糖として吸収されない・・・」と判断してしまうと良くない場合があるようです。
難消化性のオリゴ糖の代表としては大豆オリゴ糖、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖などがあり、一部消化性のオリゴ糖としてはイソマルトオリゴ糖などになりますので、食品表示などを注意して見てみる必要もありそうです。
また、オリゴ糖の特徴として白砂糖のようなしっかりとした甘みが無いために、調理など食品に使用するときには、物足りなさを感じる方もいるとおもいます。だからといって市販のオリゴ糖シロップなどを大量に使用すると他の糖質を含んでいる商品もありますので、結果的に糖を多く摂取してしまうことにならないように注意が必要かもしれません。
ポイントは、砂糖と同じ甘さにしようとするのではなく「オリゴ糖のさわやかな甘さ」を楽しむことだそうです。
城西大学 薬学部 医療栄養学科 清水 純准教授によりますと、オリゴ糖の積極的な摂取に関しては、健康に対して良いこともたくさんありますが、量や急激摂取によっては下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあると指摘しています。
そのような時は、有効摂取量の一日あたり2~10gを目安に「1回の量を2~3回に分けて摂取する」「1日あたりの摂取量を減らして数日間かけて1日当たりの摂取量まで増やす」ということを推奨しています。
オリゴ糖と腸内細菌との関係については以前から説明をさせていただいてきましたが、糖として吸収された場合との血糖値などへの影響との違いも知っておくと良いかもしれません。