2020年04月17日
理想的な腸内環境をつくるには日和見菌を味方につけることが大切です(Ⅰ)

善玉菌や悪玉菌という名前は、お腹の健康について興味のある方にとって聞きなれた言葉かもしれませんが、実を言いますと善玉でもなく悪玉でもない、「どっちつかずの菌・・・」である日和見菌のお腹の中で占める割合が一番多いことはご存知でしょうか。
健康な人の理想的な腸内フローラの菌の割合は、善玉菌:日和見菌:悪玉菌が2:7:1といわれています。つまり、日和見菌はお腹の中の7割を占める圧倒的な勢力になっているのです。
これを、お腹の中の菌の数で考えれば、全体を100兆個としたときに70兆個もあるということになります。
この70兆個の腸内細菌がどのような働きをするかを知っておくことが大切になってきます。先ほども言いましたように「どっちつかずの菌・・・」ということなのですが、言い方を変えますと、強い方に味方をする菌という事になります。
つまり、この強い方が「善玉菌」なのか「悪玉菌」なのかを常に見定めながら、その時その時の都合に合わせて味方する・・・というある意味、厄介な菌のグループになるのです。
ここで、改めて善玉菌と悪玉菌の働きを見ていきたいと思います。善玉菌も悪玉菌も微生物として生きていますので、多くの生き物と同じように、「食べて」、「排泄」をしています。
この食べ物と排泄物に注目する必要があります。
ビフィズス菌や乳酸菌を代表とする善玉菌の場合は、糖や食物繊維を食べ物として、乳酸や酢酸などの酸を排泄します。また、ウェルシュ菌な大腸菌(有毒株)などの悪玉菌はタンパク質や脂肪を食べ物として好み、インドールやアミンなどの嫌な臭いの成分や、なかには発がん性のある成分を排泄するのです。
この2割の善玉菌と1割の悪玉菌の様子をうかがいながら、日和見菌はどのような働きをするのかといいますと、強い方と同じ働きをするのです。
ここが大きなポイントになります。2割の善玉菌が強いと判断すれば、善玉菌と同じように、糖や食物繊維を食べて乳酸や酢酸、さらには酪酸などの短鎖脂肪酸を排泄する菌の割合が全体の9割になるのか、たんぱく質や脂肪を食べ物にして、有害物質を排泄する菌の割合が8割になるか・・・どちらが良いかは考えるまでもなく・・・当然、日和見菌を善玉菌の味方につける方が良いという事になると思います。
もう一つ、よく意識しておかなければいけないことは、善玉菌の働きをしたにせよ、悪玉菌の働きをしたにせよ・・菌が排泄物を出した場所は腸管の中という事です。
ご存知のように、腸は消化器官の中での消化という機能よりも、吸収という役割の大きな場所です。
つまり、この場所で腸内細菌につくられたものは腸から吸収され全身を巡るということになります。当然、有害物質が多くなれば解毒作用を担っている臓器にも負担がかかることになってしまいますし、身体の中の免疫システムの6割以上あるといわれている場所であるという事も忘れてはいけないことなのだと思います。
ここで、日和見菌を味方につけるには具体的にどうしたらいいのかを考えてみたいと思います。
先ほども言いましたように、日和見菌は常に、「どちらが強いかどうか・・・」と様子をうかがっています。つまり、「善玉菌の方が強いんだぞ・・・」ということを日和見菌に示さなければなりません。
一つは、もともとお腹の中にいる善玉菌を元気づけることが大切になるのですが、お腹のなかの勢力図は脳腸相関という言葉にもあるように、ストレスなどの影響を非常に受けやすいとされています。
事実、緊張することで下痢や便秘を引き起こすことが多い方などは実感があると思いますが、これがストレスによる腸内フローラの乱れの代表的な事例です。
とはいえ、日常生活の中で「ストレスを受けない・・・」という事は非常に難しいことになります。
そんな時は、手っ取り早く、「強い助っ人を頼む・・・」事が有効です。
これがプロバイオティクス(身体にとって良い働きをする微生物)の活用です。このようなプロバイオティクスは、飲料も含めて様々な食品に含まれていますので積極的に活用することで、お腹の中の善玉菌が「いつも強い奴・・・」のままで居続けられるという事につながります。
しかし、一つだけ気を付けなければならないのは、助っ人はあくまでも助っ人なので腸管内の免疫システムが仲間と判断しないということになり、お腹の中に居続けられないという宿命があるということです。
そのために、様々な工夫をしながら毎日プロバイオティクスを摂り入れる必要があります。
もう一つは、日和見菌が強い勢力についた時に必要な食糧が用意されているか・・・という事です。日和見菌が味方に付くと自分自身の健康にとって良いことがたくさんあるのですが、全体の2割分の食べ物だけでなく、9割分の食べ物が必要になりますので食物繊維やオリゴ糖を含んだものをたくさん摂ることが必要になってきます。
この考え方が、シンバイオティクスという考え方のベースになっているのです。
Posted by toyohiko at 14:18│Comments(0)
│身体のしくみ