2020年08月01日
腸活は「少しずつ」がポイント

最近、新型コロナウィルス感染拡大予防のために自粛生活や「新しい生活様式」が多くの場面で取り入れられるようになってきました。その結果、運動不足や慣れない生活パターンによってストレスが増大したという話も耳にすることがあります。さらに、そのような生活様式が原因となり便秘の方が増えているということなのだそうです。
そもそも便秘といいますと、排便間隔が長くなり数日に1回程度しか排便が無かったり、排便時に残便感があり「スッキリ」という感覚が無いことが常態化する状況を指しますが、これらの原因としても挙げられるのがストレスによる腸内環境の乱れや、高齢者にはよく見られる傾向としてあるのが運動不足による排便する力の低下などがあるといわれています。
まず、ストレスについては、平成28年度の国民生活基礎調査によりますと15歳以上のかたのストレスの原因について「家族」と答えている方が14%、「家族以外」が15%に対して、女性の場合には「家族以外」に対して、「家族」約8%多く全体のデータとは逆の数値になっており、「家族」をストレスの要因と考える人も多くいるという結果となっています。
特に、現在の状況では緊急事態宣言下における学校の休校措置をはじめ、テレワークなどを活用した在宅勤務の促進など、生活の基盤である家庭での環境の大きな変化がありました。
その変化が、プラスになる方もいればマイナスになるケースもあった・・・という結果なのだと思います。現実に4月5月の各市町村での児童相談施設への相談件数の急激な増加は環境の変化に対するマイナスの変化の様子を反映しているのかもしれません。
結果的に、様々な要因によるストレス増加によって、腸内環境の悪化を招いている方が増えていることで便秘のかたの増加につながっているとすれば、その環境をさらに変化させるか、変化した環境に適応する必要があります。
とはいえ、現在の状況を鑑みても「スッキリと晴れやかな日常生活」というよりも、「緊張感をもって様々なリスクへの対応をしていく・・・」というライフスタイルを中心に考えざるを得ないというのが現状かと思います。
だからこそ、日常の食生活を中心に腸内環境を整えることを意識しながら、QOLを改善することがさらに必要になってくるのではと思います。
腸内環境を整える食生活のポイントとして一番気にしていきたいことは、身体によい働きをする微生物であるプロバイオティクスはもちろんのこと、大腸の中でエサとなるプレバイオティクスです。
プレバイオティクスの代表としては食物繊維とオリゴ糖です。日本人の食物繊維の必要量は18gとされていますが、1955年の23gに対して2018年の15gと減少傾向にあり、1960年代には「何とか足りている・・・」状況にあったもののそれ以降は減少し続けています。
大妻女子大学の青江誠一郎教授によりますと、その原因として、食生活の変化を挙げています。特に「脂っこくて柔らかい食べ物」の増加と、お米を中心とした「穀物の摂取量」の減少としていることからも、プレバイオティクスの積極的な活用は大切と言えます。
しかしながら、オリゴ糖も含めて食物繊維類の急激な過剰摂取は一過性の下痢症状につながることがあるといわれています。
これは、食物繊維やオリゴ糖を摂取するための善玉菌や日和見菌の割合がまだまだ少なく、悪玉菌の割合が多いことで起きてしまうと考えられています。
そのためにも、食物繊維の中でも海藻類などの便を柔らかくする効果のあるといわれる水溶性食物繊維を中心に摂取したり、オリゴ糖の量を徐々に増やしていくことで、善玉菌を中心とした短鎖脂肪酸を代謝するグループの勢力を徐々に広げていく方法が有効的とされています。
この勢力図の状況を確認していくために、便の色に注意していくと良いと思います。以前にも言いましたように、便の色は大腸内のPH値によって変化することが解っていますので、短鎖脂肪酸がしっかり代謝されていれば、便の色はより黄色に近い色になってくるからです。
その色の変化を確認しながら、少しずつ増やしていく事が大切になります。
日常生活の中で、積極的にとりいれることが難しいとされるプレバイオティクスですが、食材の見直しに加え、必要量の18gに対して足りていない3~5gをオリゴ糖や食物繊維の入った食品を利用することで補ってみることも有効なのかもしれません。