2020年04月21日
理想的な腸内環境をつくるには日和見菌を味方につけることが大切です(Ⅱ)

以前にも、「便はお腹のお便り・・・」というお話をさせていただいたことがあったかと思いますが、腸内環境の状態が表れているといわれています。
便の色、臭い、形、量など様々な要素がありますが、それぞれに理由があります。
多くの場合、便の主な成分は「食べ物のカス」と思っている方も多いと思いますが、水以外の主成分は、腸内細菌と古くなった腸壁の組織になります。以前にもご説明したことがあるかと思いますが、睡眠時の大蠕動がうまく機能していると古くなった腸壁が腸管内にとどまることがなく良い状態になります。
まずは、便の色と臭いについて触れてみたいと思います。
便の色は非常に重要な要素です。そもそも、便の色は胆汁が大きく関わっています。胆汁に含まれる「ビリルビン」という物質が腸内のpH(水素イオン濃度)によって変化するために便の色によって腸内の状態が解るという訳です。
赤ちゃんのウンチを思い出していただければと思いますが、母乳栄養児のウンチは黄色っぽくて、酸っぱいような臭いがしたと思います。
健康な赤ちゃんのお腹の中は、ビフィズス菌でいっぱいです。そのビフィズス菌とビフィズス菌の出す乳酸と酢酸がたくさんあるために便そのものも酸性になっています。言ってみれば、善玉菌が元気になっていて日和見菌も善玉菌と一緒になって活動している状態です。
その一方で、便が黒っぽい場合は悪玉菌が多く、悪玉菌と日和見菌が一緒になって有害物質を腸管内に出している状態です。そのために、便がアルカリ性になり臭いも刺激臭に近くなってきます。
続いて、便の形についてですが、良好な便は70%~80%が水分になります。70%より少なくなってくると、コロコロとした便秘気味の便になってきますし、逆に80%以上になってきますと形が無くドロドロっぽくなってきます。さらに、90%を越えるといわゆる水便という状態になります。
つまり、便の良い状態というのは水分からしても70%~80%という微妙なバランスによって保たれているという事です。この水分というのは、口から飲んだものによって調整されているのでなく腸壁の外部から必要に応じて出入りしているのです。よく、水分をあまりとっていないのにも関わらず水状の便が出続けるという経験をお持ちの方もいると思いますが、腸管内の感染症などの場合は腸管内の不必要な菌や菌によって産生された毒性のある成分を体外に出すために身体の中の水分を利用しているのです。
最後に、便の量についてお話をさせていただきます。
先ほども言いましたように、便の主成分は腸内細菌になります。つまり、腸内細菌の量がたくさんあることと、便をしっかり排出するための蠕動運動の二つが大切になってきます。
一般的に、感染症の症状でない場合は便の中の水分量は、腸管内の通過速度と比例する傾向があります。つまり、ゆっくり通過するという事は、腸の蠕動運動が弱く腸内腐敗が進みやすくなり黒っぽくて、硬い便になりやすくなりますし、水分が少ないので結果的に便の量も減ってしまいます。
たんぱく質や脂肪分を中心とした、食生活になりますとこのような傾向が強くなります。これは、日頃の食事から摂取する栄養素に日和見菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖が足りなくなってしまい、悪玉菌と同じ働きをし始めるからだと考えられています。
近年、低炭水化物ダイエットが注目されていますが、炭水化物の量の低下に比例し善玉菌や良い状態の日和見菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖が減ってしまうために、便の量が減ってしまったり、色が黒っぽくなる傾向になりがちです。
これは、腸内環境にとってあまりよくないことになりますので、努めて食物繊維を多めに摂ることをお勧めしますが、なかなか食事でうまく摂れない場合はオリゴ糖の入った食品もありますので意識して日頃の食事に摂り入れることをお勧めします。
便の状態というのは、思っている以上にお腹の中の健康の状態を表しています。日頃の食事は勿論のこと、脳と腸は緊密に連携をしていますのでストレスにも非常に影響を受け易いですし、アルコールの多飲やたばこなども腸内細菌に悪い影響を与えるといわれていますので、免疫システムの60~70%以上をつかさどるといわれる腸の健康を「毎日のうんちチェック」から始めてみたらいかがでしょうか。
Posted by toyohiko at 09:45│Comments(0)
│身体のしくみ