2020年11月13日
量と質という視点で「良い唾液」を考える

新型コロナウィルス感染症に対する予防が生活のなかで欠かせないものになっている昨今、多くの場面においてマスクを着用するということがある意味当たり前になってきています。
そのような中、マスク生活による健康に関する様々な影響が顕在化してきていると言われ始めています。
例えば、一日中マスクをしているという中で、「自分自身の口の臭いが気になる・・・」ということはないでしょうか?
多くの人たちにとって、マスクを着用することでストレスを感じたり、口の周りを覆うという物理的な影響によって、口呼吸の人が増えてきたのではという話も耳にします。
口呼吸の一番のリスクは、口腔内の唾液の量の低下などの原因による口腔内環境の悪化です。
この唾液の量の低下によって、口腔内の悪玉菌が増殖することで嫌な臭いがするというのが「気になる口の臭い」の正体と言われています。
睡眠時の唾液量の低下による口腔内の悪玉菌の増加などからくる「口の中のネバネバ」や「嫌な臭い」も同じメカニズムとされています。
ご存知の通り、唾液は単なる水分だけでなく、消化機能や抗菌・抗ウィルス機能も持っていますので、唾液の量が減ってしまうと歯周病を始め様々な感染症のリスクが増えてしまうという事につながってしまいます。
さらに唾液の量の低下によって口腔内だけでなく鼻腔内の湿度も低下してしまいますので、鼻を通して入ってくる風邪やインフルエンザウィルスなどによる上気道感染症のリスクも上がってしまうのです。
そこで、どのようにすれば唾液の量を増やすことが出来るのでしょうか?
ドライマウス研究の第一人者とも言われています鶴見大学歯学部 斎藤一郎教授によりますと、唾液は唾液腺の周りの筋肉によって「絞り出される・・・」というようなものになりますので、筋肉量の低下が唾液の量の低下に直結するとしています。
筋肉量の低下という事からすると、舌の位置も重要な指標として考える必要があるそうです。舌は、筋肉の塊であるという事からしても、舌も含めて舌の周りの舌骨上筋群の機能低下によって舌を支えきれなくなる、「低位舌」という状態になってしまうそうです。
「低位舌」の特徴は、舌の周りに歯型がついてしまうということなので、皆さんも鏡の前で確認してみると良いかもしれません。
このような筋肉の低下が、結果的に唾液の量の低下を招くことになります。さらにマスクの着用によって表情を意識しなくなり、表情筋の低下のリスクも言われていますので、コロナ禍の生活習慣に顔の周りの筋肉を意識するという事が感染症予防も含めた健康の維持向上にもつながります。
なかなか、難しいかもしれませんがマスクの下でも笑顔など表情を意識してみたり、早口言葉などをしてみることも有効とされていますので、唾液の量を保つためにも口の周りの筋肉を意識してみることが大切です。
もちろん、あさイチ歯磨きなどによる口腔内菌叢の改善や腸内環境の改善による唾液の質の向上なども口腔内環境を良くしていくためには重要なことになりますので、同時に行っていく事をお勧めします。
Posted by toyohiko at 16:19│Comments(0)
│身体のしくみ