2021年03月05日
ロングスリーパーと睡眠の質

近年、睡眠時間と健康との関係について様々な知見が報告されるようになりましたが、その中でも1日7時間から8時間の睡眠をとっている方の寿命が長いという事はよく耳にします。
7時間に満たないケースにおける健康へのデメリットは、まさに睡眠不足によって引き起こされるリスクそのものになりますので、理解できると思いますが、「9時間を超える睡眠の人は寿命が短い・・・」については、少々わかり難いかもしれません。
睡眠中には、記憶の整理を含めた脳のリフレッシュや大蠕動による腸管内のメンテナンスなど、様々な恒常性機能をフル回転させています。
そのためには、睡眠そのものは非常に大切なものになりますが、「多すぎることのリスク」は、一般的には考えにくいものかと思います。
そこで、「多すぎることのリスク」ではなく、「多すぎる、原因によるリスク」と考える必要があるのでは、・・・?といわれています。
例えば、掃除にしても一定のエリアであれば必要な時間は決まっていますので、掃除に必要な時間に終了してしまい、時間は余ってしまいます。にも関わらず、余分に時間がかかってしまうというのであれば、しっかりと掃除に集中できない「何か邪魔をする存在・・・」であったり、「いつも通りできない理由・・・」があるはずです。
睡眠においても同様な事があると考えると、「9時間以上・・・」の謎が解けるかもしれません。
そこでキーワードになるのが睡眠の質です。
例えば、睡眠時無呼吸症候群のように就寝時に何度も呼吸が停止する症状や、いびきや寝言など様々な理由で深い眠りに入るのが難しいために、睡眠の質が悪く追加的な睡眠を必要としているという事が判ってきています。
さらに、現段階では発症に至ってはいませんが、予兆の段階で病気を食い止めようとするために長時間の睡眠を必要としている場合もあるようです。具体的にはⅡ型糖尿病の前兆であったり、認知障害とははっきり表れていないアルツハイマー病の前段階において長時間睡眠の症状が出ることが解っているそうです。
ご自身の間隔では、睡眠時間は適切であったと感じていたとしても、「日中どうしても転寝をしてしまう・・・」というような場合も、睡眠の質が悪く、追加的な睡眠が必要になっているという判断もできるかもしれません。
この様な、寝ているつもりでも十分に睡眠がとれていない「睡眠の質の低下」と言われるものは、なかなか自分自身では「いつもこんな感じだから・・・」という理由も含めて自覚していないことも多いようです。
しかしながら、この状態は、身体にとっても、特に脳にとっては大きなストレスになってしまいます。
そのためにも「睡眠の質」に対して、意識する必要がありそうです。
「睡眠の質」についての自覚症状としては、中途覚醒などが無く(回数の減少)「ぐっすり眠れた・・・」感覚があることや、「スッキリした寝覚め・・・」など、起きた時のスッキリ感がどうかということで感じることが出来るとされています。
勿論、生まれつき長時間の睡眠が必要な体質のかたもおられますが、身体の健康を保つには、単純な睡眠時間だけでなく「睡眠の質」というものにも注目することが大切かもしれません。
Posted by toyohiko at 14:44│Comments(0)
│身体のしくみ