2021年04月10日
マスク生活とスキンケア

「マスク生活」という言葉が今や普通になってきましたが、その一方で「マスクトラブル」という言葉も耳にすることが多くなってきました。
特に、春を迎え気温の上昇や紫外線のピークを迎え、冬の季節のように「マスクが暖かくて丁度いい・・・」というような状況では無くなってきましたので、その季節や状況に合わせたケアが必要だとされています。
日本医科大学医学部の船坂陽子教授は、「マスクの着用によって肌の状態が悪くなった方が増えたように思います。マスクの擦れた部分が悪化して皮膚炎が起きたり、色素沈着になったという方もいらっしゃいます。若い方ではマスクで隠れている部分にニキビが出来ていることも多い・・・」と述べています。
その原因として、「マスク内の湿潤環境」、「マスクを外した時の外気との差」、「マスクの材質による物理的な刺激」が関係していると船坂教授は指摘しています。
マスクをしている状態での湿度についてですが、マスクをした状態というのは呼気に含まれる水分がマスク内に滞留するために湿度が非常に高くなっています。そのため、皮膚はふやけた状態になっており、摩擦に対して非常に傷がつき易い状態になってしまっているということです。
さらに、「マスクを外す・・・」という行為によって湿度が急激に変わり、肌の持っている本来のバリア機能の破壊につながってしまい、炎症が起きやすくなります。
また、「マスクが擦れて・・・」赤くなったり、痒みが出てしまうという場合も肌のバリア機能が破綻して肌の最も外側にある角層が乱れている状態になりますので、免疫反応の一つとしての「炎症反応」に繋がります。
アトピー性皮膚炎でお困りの方などは、肌着の洗濯などによる細かい毛羽立ち・・・というような劣化に対しても、適度な柔軟剤の利用や、早めに新しいものに変えることで皮膚の炎症に対して対応するというような事も耳にしますが、マスクの場合も、時と場面によって材質を工夫したり、一人になれる環境では、マスクを外して刺激を最小限に抑えることも必要としています。
そもそも、肌も腸内環境と同じように皮膚常在菌と呼ばれる共生微生物によって、様々なバリア機能をサポートしてもらっています。この皮膚常在菌も腸内フローラのように絶妙なバランスによって維持されていますので、マスクのような特別な条件が負荷となり、いわゆる皮膚の悪玉菌などが増殖するような状況が出来上がってしまうこともありますし、脳腸皮膚相関という言葉があるように健康全体への影響も全くないとは言えません。
そのためには、いつも以上に洗顔については意識し、保湿も含め肌の状態を整えることが必要です。
また、「マスクをしているからメイクは・・・」という方も増えてきているというような事も耳にしますが、マスクをしていても紫外線の肌への影響は防ぐことはできませんし、「ふやけた状態での紫外線の攻撃・・・」という事になれば、普段よりも紫外線のダメージは高くなってしまいますので、日常的な日焼け止めなどの利用も有効です。
さらに、マスクを外した時のマスクの保管についても、必要以上に細菌やウィルスが増殖しない状況を意識することもスキンケアと共に口臭やマスクそのものの臭いの観点からも大切なことの一つです。
樹脂製などの水分を通さないタイプのマスクケースの場合は、悪玉菌にとって好環境である湿度が保たれやすくなってしまいますので、あまりお勧めできません。
なかには、人体に影響の少ないアルカリ成分などを利用し細菌やウィルス除去の機能を持ったマスクケースなどもありますので活用するといいのかもしれません。
マスク生活とも、もう少しお付き合いしていく必要がありそうですが、マスク生活だからこそ日常生活でのスキンケアを今まで以上に大切にする必要がありそうですね。
Posted by toyohiko at 11:59│Comments(0)
│身体のしくみ