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2021年09月16日

「育水」という考え方

「育水」という考え方


 「育水の日」という日があるのはご存知でしょうか・・・?

 2016年に山梨県が9月19日を「育水の日」として認定しているのです。この育水という言葉については、聞きなれない方も多いかと思いますが、平成7年から豊橋市内を流れる朝倉川を中心とした、環境保全活動を行っていますNPO団体朝倉川育水フォーラムが掲げた活動理念であり、造語です。

 この朝倉川育水フォーラムの設立趣旨に「育水」について、以下のように記されています

 (前文、略)失われた自然、水辺のうるおいを回復しなければなりません。私たちが川に対して行ってきた努力は、治水・利水、親水を経て、これからは、多様な植物や生き物を宿す水を育むことに変わっていきます。私たちはこれを「育水(いくすい)」と呼びます。

 世の中には、「教育」を始めとして「知育」「徳育」「体育」など様々な「育む」にまつわる言葉 があります。しかし、その多くは「人」を対象とすることばです。日本ではあまりなじみは無いようですが、 中国には「水育」という言葉もあるようですが、水を大切にするための教えを通じて、「人を育てる」 という意味があるそうです。

 古くから、「水」との関わりは、人間にとって身体の半分以上、またあらゆる生物そのものを構成する不可欠なものであると同時に、風雨や災害、河川や海岸付近では私たちの生活を脅かす脅威・・・としての存在でもありました。
そして、水源涵養の源でもある山間地においても、行き過ぎた皆伐による土砂災害への危険性など、身体的な健康面のみならず、持続可能で安全安心な暮らし・・・という社会的な面におよんでいることがわかります。

 「治水」という考え方は、私たちの生活を安全かつ安定的にしていくための大切な知恵として様々な工夫がなされてきました。
 
 「利水」についても、農業を中心とした利用や、私たちにとって大切な飲料水など生活という概念を超えて「生きていくために欠かせないもの・・・」としての存在です。

 地球全体からすると0.025%しかない川や湖などの目にすることのできる「水」は、生きていくために欠かせない存在であると同時に、昨今のストレス社会おいては「水辺」という私たちの心を和ませるかけがえのない存在である「親水」という大切な役割もあります。

 この地球上のあらゆる生物にとって大切な存在である「水」は、無尽蔵な存在であり、誰も意識することなく今の状態を保ち続け、持続可能な存在であり続けるでしょうか。

 国土における森林面積の割合も多く、水道水をそのまま飲むことができる日本では、イメージがつきにくいかもしれませんが、SDGsにおける169のターゲットの中でも「2020年までに山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う」、「2030年までに全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。」など、世界中での「水」に関する喫緊の課題は数多くあります。

 「育水」という考え方は、「水を育てる」ために、人や社会が出来ることを少しずつ積み重ねていく活動そのものを表しています。もちろん、様々なフィールドワークや、制度に対する提言、そして、「水を育てる」ための「人を育てる」活動もその中に入っています。
 
 この「育水」という考え方も少しずつではありますが、社会での認知度を上げつつあると感じています。NPO活動団体の活動や行政の取組だけでなく、山梨県と飲料メーカーとの「育水の推進等に関する連携協定」の締結など、様々なセクターでの具体的な取り組み事例もできつつあります。

 「育水」という言葉そのものの普及も含め、持続可能な社会を目指し、「出来ることを少しづつ積み重ねる・・・」仲間の環が広がることを願っています。






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