2021年12月11日
大人からの食物アレルギー

野菜や果物を食べた時に、口の中や喉などにかゆみを感じたことはありませんでしょうか。このような症状は「食物アレルギー」によるもので、近年増加傾向にあり、成人を対象としたアンケートによりますと、約10%の方がアレルギーに近い症状を自覚しているとも言われています。
この「食物アレルギー」ですが、子どもの頃のアレルギーとはメカニズムも異なる場合が多く、大人になってから症状が急激に出てきたというケースも珍しくないということです。
国立病院機構相模原病院臨床研究センター・アレルゲン研究室の福冨友馬室長によりますと、0歳児の子どもの場合のアレルゲンは、卵56%、牛乳27%、小麦粉12%であることに対して・・・、成人の場合は、野菜や果物が48%、小麦16%、甲殻類7%,スパイス6%,ナッツ類6%とアレルゲンとなる原因物質が小麦を除いて、大きく異なっており、そして、その多くが植物由来であるということも特徴としてあげれられています。
この特徴の違いも含め、福冨室長は「大人の場合は、花粉症が関係していると考えられる・・・」とし、花粉症のアレルゲンである「花粉」と野菜や果物の成分が似ているため、免疫システムが交差反応という反応を示すことによって、口腔内に炎症が起こってしまうとしています。
そのために、アレルゲンである物質が消化されることで症状が緩和されることもあり、胃に入る前の口腔内のみで発症し、消化と共に全身に症状が出にくいというケースも多く、子どものように全身や皮膚であることが少ないために、口腔アレルギー症候群(OAS)とも呼ばれています。
また、花粉症との関係性からも、自身の反応する花粉を知っておくことでアレルギー症状を防ぐこともできるようです。
アレルギー反応を回避するにはアレルゲンを摂取しないようにすることが一番です。例えば、カバノキ科に反応してしまう人は、リンゴ、桃、梨、サクランボなどに反応する可能性がありますし、イネ科やブタクサなどに反応してしまう人は、メロン、スイカ、バナナ、オレンジ、トマト、パイナップルなどについて気を付けることで症状を回避することができると言います。
その一方で、「食べ物」ということも含めて、「好きなんだけど、食べられない・・・」ということは、辛いことでもあります。
そのような場合には、花粉の飛散時期を避けて食べることや、特に果物は加熱によってアレルゲンが壊れやすいのでアップルパイやジャムなどの調理によって加熱してから食べることで症状が軽くなったり、出にくくなることもあるそうです。
また、砂糖の過剰摂取はアレルギーの炎症を悪化させるとも言われていますので、糖分の過剰摂取を抑えたり、「食物依存性運動誘発アナフィラキシーショック」のように原因食物を摂取後2時間から4時間以内に運動することで誘発されやすいケースもありますので、原因物質を食べてすぐに運動することを控えることも大切とされています。
「食べたいものが、食べられなくなった・・・」ということは、生活していく上でのゆとりに対するマイナスやストレスにもつながってきます。食物アレルギーは花粉症との関係性が大きいということを知ることで、その人にとって有効な対処方法を見つけられるかもしれません。