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2020年03月19日

プロバイオティクスとQOLの向上

プロバイオティクスとQOLの向上


 春になりますと、スギ花粉に花粉症などのアレルギー症状などで鼻づまりやくしゃみなど日常の生活に少なからず影響を受けてしまうかたも多いと思います。花粉症という症状は国民の多くの方が症状に悩まされ、ある種の社会的問題ともなりつつあります。

 また、男性に多いとされる神経性の下痢になども、ひどくなると過敏性腸症候群などにつながったり、精神的なストレス障害なども生活の質に大きな影響を与えてしまうことがありますが、これらも避けたいものの一つになります。

 この二つの症状について、一見何の関係も無いように感じるかもしれませんが多くの共通点があるのです。

 その一つは、両者の症状はいずれも免疫システムが引き金になる事での「炎症反応」によって引き起こされているという事です。

 花粉症などのアレルギーも鼻腔や目、そして口腔内に入り込んできた花粉を外敵であるウィルスとみなして自己免疫が攻撃することによって起きる炎症反応で、いわゆる自己免疫疾患となります。

 また、神経性の下痢やストレス障害もコロラドボルダー大学のChristopher A.Lowry准教授によりますと、心理社会的ストレスが腸内細菌叢をかく乱し、腸管内のディスバイオーシスを引き起こすことで病原性の菌株の増殖とともに炎症を誘導するという報告もありますので消化管内の炎症という症状の結果となります

 この炎症反応に大きく関わっているのが数多くある免疫細胞のなかのTreg細胞といわれる細胞であることが解ってきました。

 先ほどのChristopher A.Lowry准教授によりますと、Tregといわれる免疫細胞の活性化が抗炎症性サイトカインと呼ばれる物質の生産を増加させてしまい炎症を引き起こし、下痢の症状など様々なQOL低下を招くとしています。

 今回は、ヤクルト中央研究所で行われたL.プランタルムLP0132株という乳酸菌を利用し、過剰なアレルギー反応を抑制する細胞の減少を抑制と、スギ花粉症症状の軽減に関する効果について紹介します。

 Treg細胞は、Th1とTh2のバランスを整える働きがあることは近年知られるようになってきました。花粉症などのアレルギー反応のある方の場合は、花粉の飛散に伴い炎症反応が起き始め調整役であるTreg細胞は減少してしまいます。

 今回の実験は、もともとスギ花粉症状のある方男女100名を50名づつの2つに分け、L.プランタルムLP0132株の入った飲料を毎日125mlのむグループとプラセボ飲料を同じように8週間継続して飲むグループに分け、血液中のTreg細胞の変化を測定してみました。

 結果として、L.プランタルムLP0132株を摂取したグループの方が優位にTreg細胞の減少が抑えられたという結果が得られたました。さらに、摂取したグループ50名の中にはTreg細胞の減少抑制だけでなく、上昇につながったという66%の人を対象に総合鼻症状スコアの比較を上昇しなかったグループとで行ったところ有意なQOLに対する好影響が見られたという事です。

 このTreg細胞については、花粉症などのアレルギー疾患だけでなく、アトピーなどの皮膚炎や膠原病やリウマチにいたる様々な自己免疫疾患との関係性も示唆されています。

 同じ「免疫」というキーワードについても、活性不足によるQOLの低下もあれば、過剰な働きによるQOLの低下もあります。
単に、プロバイオティクスといってもその働きは様々になりますので、自身のQOL向上のために最適なものを継続的に利用できる習慣を身につけることが大切になります。






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Posted by toyohiko at 15:53│Comments(0)身体のしくみ
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