2022年01月22日
アイディアと多様性との関係を考える

日常の様々な困りごとや、目の前の課題を解決するためには、具体的な解決方法が必要です。その一方で、解決に導くための方法は一つではなく、どの方法が一番良いかは様々です。
ですから、その解決のためには様々なアイディアが必要になってくるのです。
そのアイディアについてですが・・・、「どうも、良いアイディアが浮かばない・・・」と悩んだことのある方も少なくないと思います。
また、他人から言われたことを実行するよりも、「自分が考えたことを自ら実行する方がより良い結果を導く・・・」ということからしても、「良いアイディア」に基づいて、多くのチャレンジをすることは非常に重要な事の一つと多くの人が考えていると思います。
それゆえに、アイディアや創造性を多くの人が求めています。
となれば、どうしたら良いアイディアがでる・・・という、答えがあれば知りたいと思うのが人情だと思います。
多くの場合、このアイディアに関して「専門家の意見を聞く・・・」とか、「専門的な知識が無いと解らない・・・」という感覚を持つかと思うのですが、近年では、専門家とか開発者などではなく、ユーザーなどの意見を取り上げることで良いアイディアにつながるというケースも数多く出てきています。
そのような中、東京大学大学院総合文化研究科の楊 鯤昊 大学院生、植田 一博 教授らの研究チームが、専門知識とアイディアなどの創作活動との関係性を注意配分パターンなどの解析によって行われた研究報告がありますのでご紹介させていただきます。
この研究によりますと、専門知識の多い人は集中的な注意配分パターンをもつ傾向があり、アイディアや意見の質にネガティブな影響を与えているのに対して、専門知識の少ない人は分散的な注意配分パターンをもつ傾向があり、そのことがアイディアや意見の質にポジティブな影響を与えているというのです。
このことは、脳科学的に見た場合でもアイディアに関するものについては、デフォルトモードネットワークのように外見的には「ぼーっとして何も考えてなさそうな状態」にあるという事が判ってきているようなので、専門性への思考の集中が何かの阻害要因になっているのかもしれません。
この「専門性」については、他者に対して「オレの方が知っている・・・」とか「若いものや、素人には負けられない・・・」という感情が重ねられてしまったとすれば、その感情がアイディアに対する阻害要因になってしまうということは想像に難くありません。
専門性につながる、「学び」というものは、「追求すればするほど、わからないことが多いことが解る・・・」というようなものだと思います。
だからこそ、多様な考えを取り入れ、物事に対しても、柔軟に対応できたり、謙虚になれる・・・というものであって欲しいのですが、「現実には、そうはなっていない・・・」ということなのかもしれません。
Posted by toyohiko at 11:27│Comments(0)
│社会を考える